“世界最高の戦術家“。33歳のバイエルン新指揮官とは何者か?【ユリアン・ナーゲルスマンの章・前編】

2021年05月17日(Mon)13時00分配信

text by 結城康平 photo Getty Images
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33歳の青年監督にして、来季からバイエルン・ミュンヘンの監督に就任することで注目を集めるユリアン・ナーゲルスマン。いったいどんな監督なのか? 5月17日発売『フットボール新世代名将図鑑』から、青年監督の先頭を走る「ユリアン・ナーゲルスマン」の章を一部抜粋して前後編で公開する。今回は前編。(文:結城康平)

変幻自在のフットボールの正体とは?

ユリアン・ナーゲルスマン
【写真:Getty Images】

 ホッフェンハイムの指揮官にブンデスリーガ歴代最年少で就任したのが5年前。「ベイビー・モウリーニョ」という異名で知られた当時28歳の青年監督は、驚くべきスピードで現代フットボールの主役に躍り出た。欧州全土に与えた衝撃は「アカデミックな知識を武器にするコーチ」の先駆けになったジョゼ・モウリーニョにも匹敵する。

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「ペップ・グアルディオラから様々なアイデアを得た」とコメントしている聡明な指揮官は、アウクスブルク時代にはトーマス・トゥヘルをアナリストという立場からサポートしていた。戦術の幅が広く、どんな相手に対しても柔軟な対策を準備するトゥヘルの影響についても見逃せない。

 特にパターンが多くクリエイティブなトレーニングで知られるトゥヘルから学んだ日々のトレーニングは、選手たちを飽きさせない。ハイプレスとトランジションを重視するラルフ・ラングニック派のフットボールに様々なエッセンスを加えた、多国籍で現代的なフットボールこそが彼の本領だ。

 選手の用兵にも優れており、ホッフェンハイムでは本職がボランチのケヴィン・フォクトをCBに重用。ロングボールを供給するクォーターバックとして彼に新境地を切り開かせた。

 身長194センチのザンドロ・ヴァーグナーを前線に置くことで、メキシコには存在しなかったシンプルな空中戦というオプションも加えていた。相手にタッチダウンパスが研究されると、ハーフスペースを使った崩しやカウンターのオプションを追加して対応。臨機応変に手札を増やすことで、対策を見事に打ち破った。

 このように「受け手」を増やしていく戦術において、ナーゲルスマンが最も大切にするのが「戦術的柔軟性」だ。それは「ポジショナル・ポリバレンス」(位置的な万能性)と表現されることもあり、複数のポジションに対応する能力を意味する。

 所属する多くの選手が「少なくとも2つのポジションでプレーすることが可能」という特性は、ナーゲルスマンの「ポジションチェンジを繰り返す」フットボールにおいて最重要な要素となる。2019/20シーズンから指揮を執るRBライプツィヒでも、1人の選手がポジションを移動することで[3-4-2-1]を[4-3-3]に変化させ、さらに[4-2-2-2]にも発展していく変幻自在のフットボールを披露している。

(文:結城康平)


『フットボール新世代名将図鑑』


≪書籍概要≫
定価:2090円(本体1900円+税)
今、欧州を中心にペップ・グアルディオラ、ユルゲン・クロップをトップの座から引きずり下ろそうと、最新鋭の理論を武装した「青年監督」たちが虎視眈々と牙を研いでいる。
フットボールの未来を担うユリアン・ナーゲルスマン(RBライプツィヒ監督)とぺパイン・ラインダース(リヴァプールアシスタントコーチ)を筆頭に、現在のトップ監督を蹴落としていくモダンフットボールの申し子たちを一挙に収録。
思考、ゲームモデル、相関図、将来像などを紐解きながら、近未来のフットボール界を牛耳る監督を占う。

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【了】

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