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チェルシーはなぜCL制覇することができたのか。マンCの仕掛けも無問題、最強だったのは…【欧州CL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 編集部 photo by Getty Images

UEFAチャンピオンズリーグ(CL)決勝、マンチェスター・シティ対チェルシーが現地時間29日に行われ、0-1でチェルシーが勝利、9年ぶり2回目の王者に輝くことになった。トーマス・トゥヘル監督はプレミアリーグ王者に対しこれで3戦全勝。今回はどうやって勝利を掴み取ったのか。(文:小澤祐作)

変化のシティと安定のチェルシー

チェルシー
【写真:Getty Images】

 ジョゼップ・グアルディオラ監督は、クラブ史上初のタイトルが懸かった試合で変化を加えてきた。それに対しトーマス・トゥヘル監督は常に冷静だった。2020/21シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)決勝を簡単に振り返ると、こういった表現になるのかもしれない。

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 シティは4-3-3でこの試合に臨んだが、スタートメンバーは少々意外だった。アンカーにはフェルナンジーニョではなくイルカイ・ギュンドアンを起用し、左ウイングには今季不調のラヒーム・スターリング。インサイドハーフにフィル・フォーデンとベルナルド・シウバを並べたのである。

 ペップ・シティは攻撃時は後ろが3枚となり、中盤は左サイドバックのオレクサンドル・ジンチェンコが中に絞ってフォーデンがトップ下に入ることでひし形のようになる。守備自慢の相手に対しまずはポゼッションで優位に立って押し込もうという意図だった。

 そんなシティを前に、チェルシーは立ち上がり少しドタバタした。しかし、準決勝レアル・マドリード戦もそうだったが、トゥヘル監督のチームは修正が早い。守備陣はすぐに落ち着きを取り戻し、以降今季プレミアリーグ王者を苦しめた。

 相手のビルドアップ時は1トップ+2シャドーで中央をしっかりと締め、サイドにボールを流させる。右ウイングバックのリース・ジェームズは対峙したスターリングに対し序盤こそ後手に回っていたが、その後は問題なく対応。文字通り「無力化」していた。反対のベン・チルウェルもリヤド・マフレズに仕事を与えておらず、チェルシーは両サイドの攻防で優位に立つことができた。

 ボランチの脇を狙った選手に対してはチアゴ・シウバ、アントニオ・リュディガー、セサル・アスピリクエタの3バック一枚が飛び出すことで対応。この3人は危険なエリアで何度も効果的なプレーを示すなど、集中力、強度ともに申し分なかった。前半のうちにT・シウバが負傷退場したのは想定外だったが、代役のアンドレアス・クリステンセンもうまく試合に入ることができていた。

 チェルシー守備陣のインテンシティーは90分間落ちていない。最終的にシティに支配率60.2%を記録されることになるが、シュート数では7本:8本で上回っている。これだけでも、いかにプレミアリーグ王者が攻撃面で苦しんだかがわかるだろう。策士グアルディオラが用いたアイデアを前に、トゥヘルの下で手に入れたチェルシーの安定感が揺らぐことはなかったのだ。

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