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日本に大敗…U-24ガーナ代表は“4軍以下”だった!? 疑問残る五輪シミュレーションとしての価値

text by 編集部 photo by Getty Images

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【写真:Getty Images】


 U-24日本代表は5日、国際親善試合でU-24ガーナ代表に6-0の大勝を飾った。

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 両チームの間に歴然たる実力差があるのは序盤から明らかだった。ガーナ代表の「U-24」とは名ばかりで、実際は“4軍以下”とも言えるチームだったのである。

 U-24ガーナ代表には18歳や19歳の選手も多く、先発メンバー11人の平均年齢は20.1歳。ベンチ入りした7人も合わせた18人のメンバー平均年齢を見ても20.2歳にとどまった。ほぼ「U-20代表」と言っても差し支えない構成だ。

 そもそもガーナはすでに東京五輪出場権を逃しており、名前通りの「U-24代表」を選抜することのメリットは小さい。

 日本戦の前日記者会見でもU-24ガーナ代表を率いるサミュエル・クワシ・ファビン監督は「2023年にガーナが開催国となってアフリカン・ゲームスという大会が行われることになっている。その大会に向けて、バランスの良いチームを今から構築するためのメンバーを選んでいる」と、2年後を見据えたメンバー選考であることを明かしていた。

 2年後にU-23代表となる世代は、アフリカ屈指のタレントを誇る。というのも今年3月にU-20ガーナ代表がU-20アフリカ選手権を制覇。今回のU-24日本代表戦にも、その大会に出場したメンバーが多数含まれていた。

 しかし、結果はぼろ負け。U-20世代アフリカ最強の片鱗はなかった。その理由に関してファビン監督は「U-20アフリカ選手権に出場していた選手が多かったが、残念ながらあの時のトップの選手たちは今回来日できなかった。いまは国内リーグで優勝をかけた試合が展開されている最中で、(U-20世代で)トップの選手たちは国内リーグに残ったため、来日はしていない」と明かした。

 つまり「U-24ガーナ代表」は「U-24」世代の主力選手や有力選手がほとんどおらず、「U-20」世代で見ても中心選手はいない。控えめに表現して“4軍以下”の寄せ集めチームだったことがうかがえる。

 来日直前に選手選考を兼ねた国内組のトレーニングを1日だけ行い、海外組も合流して本格的にチームとなったのは来日してからの数日間だけ。指揮官が「編成されたばかりの若いチームで、まだ十分に熟成していない」と認めるように組織力を醸成する時間は確実に足りておらず、U-24日本代表の前にほとんど手も足も出なかった。

 日本側としては来月開幕する東京五輪を見据え、初戦の相手を意識した「仮想・南アフリカ」がガーナ戦のテーマだっただろう。ところがアフリカ人選手と対戦できたこと以外に当初の目的を達成できたか怪しい試合になってしまった。五輪本番のシミュレーションとして価値があったかどうかには大きな疑問が残る。

 最終メンバー入りをかけたサバイバルという意味で、選手個々のアピールの場にはなった。オーバーエイジを加えたU-24日本代表の試運転は完了。次の試合でジャマイカのA代表を相手にどんなパフォーマンスを見せられるかによって、ようやくチーム力のポテンシャルを測ることができそうだ。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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