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EURO2020 3年前

イングランド代表に存在した凄まじい“狩人”。クロアチア代表を前に獅子奮迅の活躍、一体誰?【ユーロ2020分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

采配に強いて疑問符をつけるとすれば…



 こうしてユーロの初優勝に向けて好スタートを切ったイングランド代表だが、サウスゲート監督の采配に強いて疑問符を付けるとすれば、トリッピアーの左SB起用か。トリッピアーの本職は右SBだが、クロアチア戦では左SBで起用されたことで、持ち味である右足から繰り出す高精度のクロスは鳴りを潜めていた。そもそも右利きのため、左サイドでボールを右に持ち替える場面が散見され、インサイドにパスを出すことはできても、SBとして上手く攻撃参加することはできていなかった。

 もちろんヨーロッパリーグ(EL)決勝およびチャンピオンズリーグ(CL)決勝まで戦ったルーク・ショーとベン・チルウェルのコンディションはまだ十分に整っていないのかもしれない。クロアチア戦でショーはベンチスタートで、チルウェルはベンチ外だった。そしてトリッピアーも守備面で穴を空けたわけでないので、問題ないと言えば問題はない。正確なロングボールを蹴るという点では、3選手の中でアトレティコ・マドリードの右SBに軍配が上がったとも言える。

 しかし、本職が左SBのショーかチルウェルがプレーした方が、攻撃面のバリエーションは増えるだろう。特に左のインサイドにマウントが入った時は、チェルシーで同僚のチルウェルと好連係が期待できるのではないか。

 サウスゲート監督は「我々の最初の目標は決勝ラウンドに進出すること」と言う。グループで最大のライバルと目されたクロアチアを退けたことで、「最初の目標」をクリアする目途は立った。

 もちろん油断はできないが、イングランド代表はグループリーグの3試合全てをホームのウェンブリー・スタジアムでこなすことができる。残りのスコットランド代表戦とチェコ代表戦は、スリー・ライオンズがコンディションを整え、左SBを含め様々なポジションで選手起用を試しながら、さらに成熟する機会として活かせそうだ。

(文:本田千尋)

【了】

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