イングランド代表が演じた“パーフェクトな塩試合”。大会を制するために導きだした戦略とは?【ユーロ2020分析コラム】

2021年07月04日(Sun)12時45分配信

シリーズ:分析コラム
text by 本田千尋 photo Getty Images
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UEFAユーロ(欧州選手権)準々決勝、ウクライナ代表対イングランド代表が現地時間3日に行われ、0-4で勝利したイングランド代表が準決勝進出を決めている。要所を締めてリードを広げたイングランド代表は、危なげなく勝利を手にしている。決してエキサイティングとは言えない試合には、大会を勝ち抜くために指揮官が導きだした答えが見え隠れする。(文:本田千尋)

エースの覚醒と準決勝進出

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【写真:Getty Images】

 最高の“塩試合”だった。現地時間7月3日にローマで行われた準々決勝。イングランド代表は、ウクライナ代表を全くと言っていいほど寄せ付けず4-0で快勝している。

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 試合が始まって間もない4分、ラヒム・スターリングのラストパスをハリー・ケインがきっちり決めて先制すると、のらりくらりと試合を運んでいく。決してペナルティエリアの中ではシュートを打たせないなど、要所はきっちり締めつつ、ここぞと言う時にギアをトップに入れて仕留めにいった。

 後半始まって間もない46分にルーク・ショーが蹴ったFKをハリー・マグワイアがヘディングで合わせて追加点を挙げると、50分にケインが3点目。ドイツのキッカー誌に「ファントム・ケイン」と揶揄され、グループリーグでは低調だった主将のエースFWは、62分にも強烈なボレーを放つなど、尻上がりに調子を上げてきているようだ。

 イングランド代表は自分たちがボールを持つ時と相手にボールを持たせる時のメリハリが効いていた。63分、途中出場のジョーダン・ヘンダーソンがCKからヘディングで決めて4点目。この時点で試合のすう勢が決すると、ガレス・サウスゲイト監督はショー、スターリング、カルヴィン・フィリップスら出ずっぱりの主力をベンチに下げて休ませる。73分には“覚醒”したケインもドミニク・キャルバート=ルーウィンと代わってお役御免。それから終盤に掛けてイングランド代表は、さらにのらりくらりと試合を殺すと、準決勝進出を決めた。

 エキサイティングとは言い難く、おそらくイングランドのファンだけが喜びそうな試合だった。得点シーン以外さして見所のなかったウクライナ代表戦を、ケインは「無失点で4ゴール、それは僕たちにとってパーフェクトな夜だ」と振り返る。さらに、サウスゲイト監督も「全ての選手が輝いていたね。今夜はグループ全体としての戦い方が素晴らしかった」と手応えを得ている。要するにスリー・ライオンズは、意図的に「パーフェクトな」“塩試合”を演出しようとして、それがプラン通りに成功したようだ。

 なぜサウスゲイト監督は、アンドリー・シェフチェンコ率いるチーム相手に、しょっぱい試合を狙ったのだろうか。イングランド代表を率いる指揮官は、試合後、次のようなコメントを残した。

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