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EURO2020 3年前

イングランド代表が演じた“パーフェクトな塩試合”。大会を制するために導きだした戦略とは?【ユーロ2020分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

大会を戦い抜くためにイングランド代表が出した答えは…


 その上で消耗を避けるにはどうしたらよいかというと、その答えは、やはり“塩試合”となる。しょっぱい試合に持ち込んで、かつウクライナ代表戦のようにリードを広げることができたなら、今度は守備が崩壊しない程度に先発メンバーをベンチに下げて休ませる。フランス代表、ドイツ代表、ポルトガル代表が同居したグループFと違って、イングランド代表は組み合わせに恵まれたこともあり、これまでのところは目の前のゲームの“塩試合化”に成功しているようだ。

 よって準決勝のデンマーク戦も、いかにしてしょっぱい試合に持ち込めるかが、勝敗のカギを握っているのではないか。相手が勢いに乗るチームであれば、なおさらのこと。試合の塩分濃度がどれだけ高まろうとも、「ファントム・ケイン」が“覚醒”するなど、決定的な局面で仕事ができる選手は揃っている。

 初のユーロ制覇を目論むサウスゲイト監督は、帰還したウェンブリーで、虎視眈々と“パーフェクトな塩試合”を狙っているかもしれない。

(文:本田千尋)

【了】

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