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森保一監督「何のための五輪か」。東京五輪の有観客開催に持論「もし可能なら…」【東京五輪】

text by 編集部 photo by Getty Images

森保一
【写真:Getty Images】



 U-24日本代表は22日、東京五輪のグループステージ初戦に臨み、U-24南アフリカ代表を1-0で下した。

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 試合後の記者会見で海外の記者から「無観客開催になったことによって失われたものがあるか?」と問われたU-24日本代表の森保一監督は、「できれば選手たちには有観客のなか試合をさせてあげられたらなという思いは、私にもあります」と述べて有観客開催について持論を展開した。

「2019年のラグビーワールドカップの初戦が、ここ東京スタジアムであって、あの時の開幕戦の盛り上がりをイメージしていたので、できればそういう中で選手たちにプレーして欲しかったと思っています。選手たちにとっても、選手の大切な人たち、ファン・サポーター、そして五輪を楽しみにしていた方々にも、この試合を楽しんでもらえるような状況であれば一番良かったかなと思っています」

 森保監督は「決まったことは決まったルールの中で戦い、目標や目的に変わりはない」と述べつつ、さらに続ける。

「プロ野球やJリーグでは1500試合以上有観客で試合を行っていて、新型コロナウイルスの陽性者が出ていないことをデータで見せていただいています。ポジティブなデータがありますので、そういうデータのもと、安心・安全と判断されるのであれば、サッカーでも他のスポーツでも有観客で、する側、見る側、関わる人たちが楽しんでもらえるような環境になればいいなと思っています」

 指揮官自身「もうすでに遅いとは思いますけど」と自覚はしている。それでもスタジアムに集まったファン・サポーターの後押しがない状況より、観客とともに戦うことを望むのは変わらない。そのうえで「本当に個人的な意見」として森保監督らしい「案」も提示した。

「もし有観客が可能であったとして、もう無観客が決定の中で、観客入場料(収入)はもう見込まれていないと思いますので、そういったものをコロナ禍であったりとか、自然災害であったりとか、いま大変な思いをして困難な生活をされている方々にお渡しできるような、簡単なことではないかもしれないですけど、『何のためのオリンピックか』というところで、日本の国民のみなさんが喜んでいただけるようなことになれば、と」

 コロナ禍である以上、感染リスクを減らして国民の安心・安全を確保するのが最優先。だが、スタジアムに集まった観客、あるいはそれらを取り巻く人々が安心・安全であるとデータで証明されているなら……。

 大会前にはキャプテンの吉田麻也も「もう一度真剣に検討していただきたい」と、アスリートなりの視点で有観客開催の意義について説いていた。時すでに遅し…かもしれないが、森保監督らの勇気ある意思表明は変化のきっかけとなるだろうか。

 応援はアスリートの限界を超えるパフォーマンスを引き出し、それが大きな夢や未来に向かっていくエネルギーになっていくのは間違いない。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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