なでしこジャパンがイギリスに突かれた弱点。失点に直結…クロス対応だけでない重要な改善点【東京五輪】

2021年07月25日(Sun)12時08分配信

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なでしこジャパン
【写真:Getty Images】


 サッカー日本女子代表(なでしこジャパン)は24日、東京五輪のグループステージ第2節でイギリス女子代表に0-1の敗戦を喫した。

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 主導権を相手に握られ続けながらも、日本の守備はよく耐えていた。しかし、74分にゴールを割られてしまった。イギリスのDFルーシー・ブロンズにクロスを上げられ、ニアサイドに飛び込んできたFWエレン・ホワイトのヘディングシュートを防ぎきれなかった。

 なでしこジャパンの高倉麻子監督は試合後の記者会見で「相手のストロングポイントであるクロスのところ、非常によく集中していましたけれども、そこの一発でゲームを決められたのは非常に悔しい」と失点シーンを振り返った。

 パンチングしようと飛び出したものの、自分の目の前でホワイトにヘディングを許してしまったGK山下杏也加は「ハイライトを見ても、シュートを打った選手(ホワイト9は後ろから、自分の見えないところから入ってきたので、自分はそれを目視できなかったし、後ろから入ってくる選手に対して高さで負けるのは、自分の身長ではかなわないのかなと思います」と悔やんだ。

 飛び出しの判断に関しては「自分の感覚的にはパンチができるというか、リスクがないつもりでいった」と自信があった。しかし、結果的には視界の外から入ってきた選手に頭で先にボールに触られてしまい「後ろからの選手にフリーで入られたことに対しては、どう修正しようかな……と。センターバックや守備陣形に声をかけるというか、どう修正すればいいのかは、ちょっと今の時点ではアイディアはないです」と語る。

 この失点に関しては、クロス対応にも改善点はあるが、クロスを上げられた時点ですでに守備陣形を崩されていたと言えるかもしれない。イギリスの右サイドバックであるブロンズがパスをもらう前、サイドに流れてきた選手にDF南萌華がついていったことで左センターバックが釣り出され、ゴール前は手薄に。こうした守備陣形の歪みはもっと前の段階から生まれていた。

 確かに4-4-2の守備ブロックを作って中央のエリアに侵入させない意識は高かった。実際、中央から崩されたシーンはほとんどなく、イギリスにペナルティエリア内での決定機をほぼ作らせなかった。

 では、何が問題だったのか。失点の直前に交代でベンチに退いていたFW田中美南は、日本の守備の課題を次のように指摘する。

「中は締めて、外回しにさせるけれど、でも自分らFWは(相手センターバックの動きに)釣られるシーンが結構多くて、その中でもやっぱり(コースの)限定というか、(ボールの)取りどころを自分たちでもうちょっとハッキリさせたたうえで、中を締めながら、だけど(プレッシャーに)行くところは行くというのは、チームの共通意識としてもうちょっと持てればよかったかなと思います」

 日本はボールを失うと速やかに4-4-2でコンパクトな守備ブロックを作り、ハイプレスはあまり用いなかった。一方で選手間の距離やコンパクトさを維持することの意識が強く、どこから厳しくプレッシャーをかけ始めるのかが定まらず。

 その結果、相手のセンターバックがボールを持ったまま前に運ぶのを許してしまった。イギリスのビルドアップの起点となるセンターバックに自由を与えてしまうと、そこからボールが動くたびに守備側は後手に回り、どんどんズレが生まれ、最終的にどこかで致命的なスペースや時間を与えることにつながってしまう。

 74分の失点シーンでは、右サイドに開いたイギリスの右センターバック、ステフ・ホートンにボールを持ったままハーフウェーラインを超えられたことで日本のFWがサイドまで追いかけざるを得ない状況になった。さらにイギリスの選手たちはホートンの持ち上がりに呼応するように動き出し、日本の選手たちは後手の対応を強いられる。失点の伏線ができあがっていた。

 結果論かもしれないが、失点につながらないところでも相手センターバックやセントラルMFの「運ぶ力」を制御できないシーンが今大会のなでしこジャパンには散見されている。

 田中が言ったように「(プレッシャーに)行くところは行く」というのを「チームの共通意識として」整理しなければならない。強豪国と対戦していくにあたって押し込まれる展開が増えるのは予想できるだけに、試合ごとにプレッシングのタイミングや相手の追い込み方を逐一共有し、連係・連動の質を高めていく必要がある。

 守備のためにブロックを敷いてずるずる下がるだけでは、守っているようで守れない。イギリス戦のように守備陣形のバランスが崩れていくと、ホワイトにフリーでゴール前に飛び込まれるような状況を簡単に作られてしまう。

 欧米のチームにはフィジカル自慢だけでなく、テクニックに優れ自らボールを運べる選手が増えている現状も踏まえると、守る側にもより戦術的な緻密さが求められるだろう。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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