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バルセロナが苦しんだ“ペドリ依存”。大黒柱となった18歳の孤立を救ったのは…【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images

存在感を失ったペドリ



 ロナウド・アラウホの投入は怪我の功名で、イニャキ・ウィリアムズのスピードに対抗している。しかし、DFラインの背後に走るイニャキ・ウィリアムズへ長いボールを何度も送ることで、ビルバオは深さを取ることができた。シュートにつながらなくても、コーナーキックを取れればチャンスになる。ビルバオはシュート数で16対9、コーナーキックの本数でも13対2と圧倒した。

 バルセロナがDFラインの裏を取られ続けた原因の1つは、ハイプレスが機能しなかったことだろう。3トップがファーストプレスを怠っていたのではないが、それに中盤が続かず、押し込むことができなかった。すると、フリーでボールを持つことができたビルバオの中盤の顔が上がる。まず彼らが探すのは最前線のイニャキ・ウィリアムズだった。

 ロナルド・クーマン監督が切った後半最初のカードで、ペドリに替えてセルジ・ロベルトを入れている。61分という早い時間で下げられたペドリは精彩を欠いていた。相手の中盤をプレッシングで封じ込めることができず、攻撃面でもパスを受けて前を向くシーンはわずかだった。

 データサイト『WhoScored.com』によるこの日のパス数はわずか35本。90分換算にすると、自身の昨季のラ・リーガでの平均本数を約11本も下回っていた。ペドリが孤立したバルセロナは中央でボールを運ぶことができず、攻撃はサイドに偏った。左に流れたメンフィス・デパイか、右サイドからセルジーニョ・デストが切り込むしかなかった。

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