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バルセロナは機能美とは程遠い。“メッシ後”の青写真、次のステップへと進むためには…【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

デパイとメッシの違い



 このヘタフェ戦で、前半からバルサは全体的に間延びする傾向があった。コンパクトな陣形と選手間の適切な距離を維持できなかったことは、ボールロストを頻発した一因だろう。その2つの要素を欠いては、正確なパスワークはおろか、連動したプレッシングや被カウンター時の守備を実現することは難しい。また、「5回ボールを失った」場面を振り返ると、いくつかはデパイが絡んでいる。新参のオランダ代表FWと周囲の選手との連携の構築は十分ではなく、そのこともボールロストの一因だろう。

 もっとも、まだ今季が開幕して3試合目。オランダ代表で共演しているデ・ヨングはともかく、デパイとその周りの選手たちが連係を確立するには相応の時間が必要だろう。前任のリオネル・メッシと新加入のオランダ代表FWはタイプが違う。必要以上に動き過ぎないメッシを“静のFW”だとすれば、デパイはアタッキングサードを忙しなく動き回る“動のFW”。ラングレやブスケツといった既存のバルセロナの選手からすれば、“偉大なる10番”と“リヨンからやってきたオランダ人”の違いに、出し手として戸惑いがあったとしても不思議ではない。

 何より、開幕から3試合で2ゴール1アシストと結果をだしているとは言え、デパイはメッシのような“絶対感”を醸し出していない。そもそも“生ける伝説”と比較対象にするのはおこがましいのかもしれないし、クレからデパイがメッシに及ばないのは当然だろとお叱りの声が聞こえてきそうだ。新参のオランダ代表FWがかつてそこにあった“絶対感”を欠いている限り、出し手のパスは揺らぎ、歯車は噛み合わないままかもしれない。

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