2021/22シーズンのプレミアリーグが開幕し、夏の移籍市場が終了した。この夏も各チームで様々な移籍があったが、プレミアリーグの強豪はそれぞれどんな動きを見せたのだろうか。今回は2シーズン連続でプレミアリーグを8位で終え、26年ぶりに欧州カップ戦の出場権を逃したアーセナルの補強動向を読み解く。(文:安洋一郎)
若手6人を獲得、冨安健洋のポジションは…
【写真:Getty Images】
アーセナルは今夏に主力選手で契約満了を迎えた選手が多く、その穴を埋めつつ、欧州カップ戦に復帰するための補強を行う必要があった。
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今夏、クラブ史上3番目に高額となる5000万ポンド(約75億円)の移籍金を費やして獲得したのがイングランド代表DFベン・ホワイトだ。ホワイトは今夏に退団したダビド・ルイス同様にビルドアップや配球の場面で良さを発揮するタイプのCBで、開幕戦のブレントフォード戦でもその持ち味を発揮していた。一方でフィジカルタイプのFWや1対1の守備は苦手で、この試合でも守備の脆さが出てしまっていた。
また、ルイスの退団に伴い、守備陣を統率する経験豊富な「ディフェンス・リーダー」が不在となってしまったのは大きな懸念点だ。CBはホワイトの他にもガブリエル・マガリャンイス、ロブ・ホールディング、パブロ・マリと枚数こそ足りているが、いずれの選手もこれまで守備陣を絶対的な中心として引っ張った経験はなく、経験不足の感は否めないだろう。
ルナール・アレックス・ルナルソンとマシュー・ライアンが退団したGKにはシェフィールド・ユナイテッドからイングランド代表GKアーロン・ラムズデールを獲得した。「2番手GKに2500万ポンド(約38億円)を支払ったのは高すぎる」などサポーターからは批判の声も挙がったが、開幕時点で1番手GKのベルント・レノとの契約が23年夏までとなっていることを考えると、正しい補強になったのではないだろうか。
エクトル・ベジェリンがレアル・ベティスへとローン移籍した右SBには、移籍市場最終日にボローニャから日本代表DF冨安健洋を獲得した。日本代表ではCBとして出場している冨安だが、アルテタ監督が「CBや3バックの一角でもプレーできる多様性のあるフルバックが必要だった」と語っていることから、ボローニャ時代同様に主に右SBでの起用が濃厚だ。アーセナルには既にカラム・チェンバースやセドリック・ソアレスが在籍しており、右SBの枚数こそ足りていたが、両者ともに今季のパフォーマンスレベルは乏しく、冨安は即戦力として活躍が期待されている。
その他、本職の左SBがキーラン・ティアニーしかいなかった同ポジションにはベンフィカからヌーノ・タバレスを獲得。ダニ・セバージョスがローン契約満了に伴い退団した中盤にはアンデルレヒトからアルベール・サンビ・ロコンガを獲得し、昨季後半戦にローン移籍で加入していたマルティン・ウーデゴールを完全移籍で買い取ることにも成功した。