フットボールチャンネル

アーセナル、総合が最低のD評価の理由は? 冨安健洋ら若手に巨額投資も、不足しているのは…【プレミア主要クラブ補強診断(2)】

シリーズ:プレミア主要クラブ補強診断 text by 安洋一郎 photo by Getty Images

今のアーセナルに足りていないのは…



 合計6選手を欧州で最多の約1億5600万ポンド(約237億円)の移籍金で獲得したアーセナル。一方で放出には苦労した。

 今夏の移籍市場が開幕した当初はグラニト・ジャカやエクトル・ベジェリン、ウィリアンらが移籍を希望していたとされるが、結局キャッシュ化できたのは昨季後半戦にニューカッスルで大活躍したジョー・ウィロックのみ。ローマ行きを希望していたジャカは移籍金が折り合わず残留し、24年夏まで契約延長。ベジェリンはローン移籍、週給24万ポンド(約3600万円)を受け取っていたウィリアンは残りの2年契約を破棄し契約解除という形でチームを去った。

 今夏のアーセナルの補強には1つの共通点がある。それは獲得した選手の平均年齢が22歳ということからわかる通り、若いということだ。23歳、22歳、21歳の選手をそれぞれ2人ずつ獲得したことでチームの平均年齢は大きく若返った。

 チームを若返らせることは、将来性や投資面を考えると大事かもしれないが、アルテタ監督は試合での戦い方も含め理想を追い求め過ぎている印象だ。

 アーセナルには、今季より背番号「10」を着用しているエミール・スミス=ロウやブカヨ・サカをはじめ、既にチームの中心となっている若手選手が多く在籍している。しかし、彼らを引っ張る少し上の世代の選手(25歳前後)が少なく、その分若い選手に掛かるプレッシャーや責任というのは大きくなるだろう。

 今季は無得点で開幕3連敗を喫し、最下位に沈むなど前例のない最悪なスタートを切っているアーセナル。理想を追い求めて若手選手だけを補強するのではなく、現実的なことも考えて即戦力、かつ今のアーセナルに足りていないリーダーシップのある中堅の選手も補強するべきだったのかもしれない。

 現時点で今夏の補強が正しかったのか、間違っていたのかは判断できない。ただ、昨季以上に低い順位でのフィニッシュや、欧州カップ戦を再び逃すようだと、現在所属している有望な若手選手を将来的にクラブに留めておくのが難しくなってしまう可能性もあるだろう。

【次ページ】補強・総合力評価

1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top