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アーセナル、冨安健洋の守備は凄い…とっさの判断で修正したポイントとは?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

アルテタ監督が修正を図ったポイントとは?


 この試合に勝利した最大の要因はラカゼットをスタメンに抜擢したことにある。ラカゼットとアーセナルの契約は今季限りとなっており、プレミアリーグ第8節終了時点では1度もスターティングイレブンに名を連ねていなかった。

 不遇の扱いを受けていたラカゼットだが、アルテタ監督が先発起用に踏み切った理由は前節クリスタル・パレス戦にあった。

 この試合でアルテタは4-3-3のシステムを試していた。しかし、最前線に入ったオーバメヤンは孤立気味で、前線からのプレスもハマらず。主導権を握られていたアーセナルだが、後半から途中出場したラカゼットが試合の流れを変えた。

 彼のポストプレーから左サイドの攻撃が活性化し、最終的には自ら同点ゴールを決めたのだ。これらの大活躍を踏まえると、今節スタメンに抜擢されたことは自然な流れだった。

 また、ラカゼットの先発起用だけでなく、クリスタル・パレス戦で機能しなかった4-3-3から4-4-2にシステムを変更したことも大きかった。

 直近の数シーズンでは、ラカゼットを起用した際にオーバメヤンはウイングで起用されていたが、この試合では2トップという形で併用。ラカゼットが中盤に降りてきて、オーバメヤンが裏やワイドでボールを受けるという形はこの試合で見事にハマった。

 また、クリスタル・パレス戦でボールロストから失点に絡んだトーマス・パルティとアルベール・サンビ・ロコンガをダブルボランチで起用することで、より近い距離でプレーさせることに成功。仮にボールを失っても、すぐにどちらかが相手に寄せることで致命的なミスは生まれなかった。

 これまで度々、選手の起用法や戦術面で批判を浴びることもあったアルテタ監督だったが、前線から今節にかけての修正は的確で、彼の采配が勝利を呼び込んだ。

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