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新生なでしこジャパン、初陣前でも手応えアリ。選手が「期待してください」と語るサッカーのコンセプトとは?

text by 編集部 photo by Wataru Funaki

田中美南
【写真:田中美南】



 サッカー日本女子代表(なでしこジャパン)は現地25日に国際親善時試合でアイスランド女子代表と対戦する。

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 池田太監督が10月に就任したばかりで、今回の活動は新体制になって2度目。そしてアイスランド戦は新監督のもとで初の国際試合となる。

 練習でも自ら動き回り、大きな声と身振りで積極的に指導する池田監督は「選手はピッチ上で自分たちのエネルギーや、自分の力を還元しようと前向きに取り組んでいると思います」「私の発信に対して選手も前向きに捉えてきて、チームとして一歩ずつ進めている感触もあります」と、初陣を前に手応えを感じている。

 10月の合宿から、新生なでしこジャパンは「奪う」をキーワードにチーム作りを進めている。守備では前線から激しくプレッシャーをかけてボールを「奪う」、攻撃ではできるだけ速くゴールまで迫り得点を「奪う」という2点は特に強調されており、選手たちも度々キーワードとして挙げてきた。

「『奪う』ということに関しては、(前体制では)他の国の人たちよりなでしこはできていなかったし、組織で守るという意識のあまり、個人でチャレンジできていなかった。やっぱり高い位置で奪いにいった中で、素早くゴールに向かうというのは、自分的には楽しそうだなというか、ゴールに早くいけるというのはいいなと思います。

もちろん守備での切り替えのところは重要になってくると思うので、そこは意識して、守備に関わる時と、(ボールを)奪えそうな時の裏へのアクションとか、(パスを)もらえる準備は早くしていかないといけないなと思います」

 このように語るのはFW田中美南だ。高倉麻子前監督のもとでもプレーし、東京五輪ベスト8敗退を経験しているストライカーは、新体制のサッカーに魅力とやりがいを感じている。「まずは個で負けない、個で勝てる回数を増やした中で組織を構築していったらチームとして強くなる。まず個でバトルせず、組織ばかり築き上げても良くない」とも述べた。

「個人的な守備のところでの強度と、攻撃の強度。やっぱり五輪に出た時に強度の差を自分はすごく感じたので、そういうのを試せるいい機会だと思います。そこはみんながチャレンジして、今まで自分が持っている以上のパワーを出す気持ちでぶつかっていかないと強度は上がらないと思うので、そこのプラスアルファのトライはやっていきたいと思います」

 田中は池田監督が掲げる「奪う」サッカーには「強度」の高さが必要だと理解している。守備でも相手に激しく寄せていく強さと、それを90分間継続するための強さが求められる。攻撃ではボールを奪うことにエネルギーを使ったうえで、可能な限りまっすぐゴールに向かっていく強さが必要になる。

 東京五輪も経験した27歳のストライカーは、新体制のサッカーに「期待してください」と言い切った。

「ボールを持っている時間が長ければ、長くできるように。(攻守の)切り替えのところでボールを奪いにいきたいし、守備も攻撃的にしていきたいので、ボールを持てる時間を日本が長くして、その中でコンセプトである『奪ってからすぐゴールに向かう』時に、自分は(選択肢の)一番目で見てもらえるようなアクションと引き出し方をしなきゃいけないと思います」

 力強いプレーで池田監督のコンセプトを体現し、来年1月に開幕するアジアカップや、その先にある2023年の女子ワールドカップに向けて生き残れるか。新体制のサッカーをよく理解するエース候補のプレーに注目だ。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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