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南野拓実はどのようにリバプールを救ったのか? 地獄へ落ちかけたが…報われた真摯な姿勢【コラム】

text by 舩木渉 photo by Getty Images

後半に流れが変わった理由



 リバプールは19分にMFアレックス・オックスレイド=チェンバレンのゴールで1点を返すが、33分に3失点目を喫してしまう。またしてもサイドでボールを奪われたことがきっかけとなり、レスターのMFジェームズ・マディソンに豪快な無回転ミドルシュートを決められてしまった。

 2点ビハインドで前半を終え、後半からどう修正していくか。指揮官の手腕が問われるタイミングで、リバプールのユルゲン・クロップ監督はハーフタイム明けに3枚替えを決断する。クメティオとDFコナー・ブラッドリー、MFタイラー・モートンの若手3選手をベンチに下げ、DFイブラヒマ・コナテ、MFジェームズ・ミルナー、FWジオゴ・ジョタを投入。人を入れ替え、主力級でチーム全体の質と連係の向上を図った。

 そして、その狙いはピッチ上のパフォーマンスにしっかりと現れた。後半になると前半には見られなかったような中央でのコンビネーションプレーや複数人が絡むサイドの崩しなどが増え、リバプールのボール支配率はどんどん上がっていく。

 前半は59%だったボール支配率は、後半のみだと75%まで上昇。3失点の原因となったカウンターも許さないほどの猛攻でレスターのゴールに迫った。前半は6対6だったシュート数が、後半は16対2に変わったことからも、どれだけ大きく展開が動いたのかがわかるだろう。

 67分に生まれたリバプールの2点目は、試合の流れの変化を象徴するようなゴールだった。ペナルティエリア手前でボールを受けたFWロベルト・フィルミーノが混戦の中で反転して味方へパスすると、DFを背負いながら受けた南野が巧みなコントロールからスルーパスを繰り出す。その先に抜け出したのは途中出場のジョタだった。

 前半にほとんどなかった中央のコンビネーションプレーと、交代で起用された選手の力で奪った1点はリバプールに大きな勢いをもたらした。

 しかし、押し込み続けていながらなかなか3点目が奪えない。レスターも中央を粘り強く固めてきており、終盤にかけてサイドからの単純なクロスが増えてしまった。リバプールは前線に高さのある選手を置いておらず、屈強な相手ディフェンス陣にクロスをことごとく跳ね返されてしまう。

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