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レアル・マドリード、なぜ11人離脱でも勝てた? “美学なき勝利”の裏にある明確な指針とは…【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

モドリッチとカゼミーロを欠いた中盤は…



 4分、ヴィニシウスとベンゼマの“量産コンビ”が左サイドを強襲。ヴィニシウスがマイナスに戻したボールを、ボックスの手前でクロースがさばき、それをベンゼマがダイレクトで巻くようにしてフィニッシュ。レギュラー陣の活躍でレアルが先制に成功する。

 さらにその3分後には、またもベンゼマ。自陣右サイドでバルベルデがボールを奪ってカウンターを仕掛けると、アザールのパスが相手に当たってベンゼマの下へ。フランス代表FWは落ち着いてこれを決め切った。

 レアルの選手たちは、新型コロナウイルスでGKウナイ・シモンとCBイニゴ・マルティネスを欠くビルバオ守備陣に試合開始から襲い掛かり、人員不足の杞憂を吹き飛ばすかのように2ゴールを奪取した。

 もちろん人員不足の影響が否めないところもあった。特に、モドリッチとカゼミーロを欠いた中盤は強度が落ちてしまう。2点を先行した直後の10分にはボックスの手前でカマヴィンガがオイアン・サンセからボールを奪い切れず、シュートを打たれて失点を喫している。

 その後、レアルの選手たちは攻守の切り替えを徹底し、守備時には[4-5-1]のブロックを構築。場合によってはボックス内に人数を掛けて守ることで、2-1のままで逃げ切ることに成功した。

 主軸の2人を欠いたことで中盤が不安定になり、しっかりとしたボール・ポゼッションの実現は難しかったが、チーム全体のクオリティはさほど落とさず、年内最後の試合に勝利した。

 なぜ、これほどの人員不足にもかかわらず、レアルはクオリティを落とさずにサン・マメスで勝利できたのだろうか。

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