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レアル・マドリード、なぜ11人離脱でも勝てた? “美学なき勝利”の裏にある明確な指針とは…【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

人員不足のレアルを支えた明確な指針



 1つ目には、ゲームプランが明確だったからだろう。敵の守備陣がウナイ・シモンとイニゴ・マルティネスという要を欠いていたからこそ、最初からギアをトップに入れてビルバオに襲い掛かって可能な限り得点を奪う。そして、モドリッチとカゼミーロが不在でポゼッションが不安定なことが見込まれることから、無理にボールを保持しようとするのではなく、ブロックを構築してカウンターを狙う。序盤で得点を挙げることができれば、攻撃よりも守備に重点を置く。

 このようなプランが、カルロ・アンチェロッティ監督の頭の中にはあったのではないか。10分の失点は計算外だったかもしれないが、明確な指針があったからこそ、過剰な人員不足に陥ってもブレることはなかったのだろう。

 両ウイングの選手の献身性も大きい。ヴィニシウスとアザールは、守備時には[4-5-1]の2列目の両ワイドに降りて強度の高いブロックの構築に貢献。このブラジル代表FWとベルギー代表FWは、得点に絡んだ序盤を含め、攻守両面においてビルバオ戦の戦術の肝だったと言える。この2人のアタッカーについて、アンチェロッティ監督は、試合後、次のようなコメントを残している。

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