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久保建英 2年前

久保建英のいる右サイドがボロボロにされた。ビジャレアルに3失点大敗、何が問題だったのか?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

ボロボロにされた右サイド



 ビジャレアルの前線はかなり流動的で、当然スタートポジションに固執することが少ない。その中でマジョルカはマークの受け渡し等がスムーズにいっておらず、後ろに人数を揃えているにも関わらず不用意にスペースを与えてしまう場面が目立った。

 先述した通り久保はペドラサの担当だが、左サイドから内側に絞ってくるモイ・ゴメスを見なければならないことも多かった。その際ペドラサのチェックは本来ならマフェオがしなければならないのだが、アルベルト・モレノらも流れてくるので迂闊には前に出られない。そのため、瞬間的に久保が二人を見るという状況を作り出されることが多かった。

 たとえば先制点の場面。ビジャレアルがスローインで始めると、久保のいる右サイドでペドラサとA・モレノがパスを交換する。この時マフェオは絞るゴメスのマークを担当しており、久保のカバーに入ることができなかった。そして数的不利を強いられてしまった久保はペドラサに突破を許し、クロスを上げられる。これがルッソのオウンゴールに繋がってしまった。

 また、25分のシーンではマークがバラバラになっていることが良く分かる。久保が内側のゴメス、マフェオが大外のペドラサを見ているのだが、CBパウ・トーレスがマジョルカ陣内にフリーで侵入。この時久保がゴメスのマークを捨てP・トーレスへプレッシャーにいったが、そのカバーを誰も行っておらず、ハーフスペースで瞬間的にゴメスがフリーとなってしまった。結果的にP・トーレスからパスは出なかったが、一気に深さを作られても不思議ではなかったはずだ。

 このようなことを繰り返す中でペドラサに2アシストを与えるなど、右サイドをボロボロにされてしまったマジョルカ。久保とマフェオの連係にも難があったかもしれないが、それだけではないだろう。CBやボランチがもっと気を利かせていれば、まだマシな結果になっていたかもしれない。個人というより、チームとして大きな問題があったと言える。

(文:小澤祐作)


【了】

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