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旗手怜央は「MF界のロールス・ロイス」。井手口陽介も復帰、17戦無敗のセルティックはポジティブな収穫だらけ【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 舩木渉 photo by Getty Images

井手口陽介が戦列復帰



 また、前田と同時に投入される形でMF井手口陽介が負傷からの復帰を果たした。初先発のチャンスをもらったスコティッシュカップ4回戦のアロア・アスレティック戦でひざを痛めて約3週間にわたって戦線を離れていた日本人MFは、前田や旗手と比較すれば周囲からの信頼を得るのにもう少し時間がかかりそう。だが、まずはプレーできる準備が整ったことを祝福せねばなるまい。彼にとってここからがスコットランドでの挑戦の本格的なスタートになる。

 4-3-3のインサイドハーフでは旗手やオーストラリア代表MFトム・ロジッチ、そして冬の新戦力であるMFマット・オライリーが躍動しており、前半戦の主力だったMFデイヴィッド・ターンブルもまもなく負傷から復帰する見込みになっている。競争は熾烈だが、冒頭で述べた通り過密日程が続いていくため、ポステコグルー監督にとって井手口の復帰はレイス戦における重要な収穫の1つと言えるだろう。

 ここまできて旗手の活躍ぶりにも触れないわけにはいかない。すっかり主軸に定着した感のある24歳は、直近のリーグ戦から引き続き先発起用された4人のうちの1人で、レイス戦も元気にフル出場でチームの勝ち上がりに貢献した。

 ゴールやアシストといった数字には残っていないが、ピッチのいたるところに顔を出し、ビルドアップでもチャンスメイクでも存在感を発揮するのが旗手である。セルティックの1点目の場面では、絶妙なフリーランで相手のディフェンスラインを下げさせ、スケールズがシュートを打つためのスペースを作り出した。背後を狙うちょっとした動きだが、ゴールにつながる大きな働きだった。

 そして2点目の直前には、セルティックTVの実況も思わず「とんでもないパスだ!」と叫んでしまうほどの完璧なスルーパスでジョタの足もとにピタリとボールを届けた。相手選手の間をギリギリで抜き、左サイドを駆け抜けてくるジョタのスピードを殺さないよう絶妙な回転のかかったパスは見る者の度肝を抜く1本だった。

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