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バルセロナ、“致命的”になりかねない課題とは? 支援を失ったアダマ・トラオレと粗が目立つ規律【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

アトレティコ戦は“一夜の夢”だったのか



 もちろんチームがズタズタの状況でバトンを渡され、新戦力やケガから復帰した選手の存在を踏まえれば、攻守両面において戦術を落とし込むのは簡単ではない。しかし、ペップの“5秒ルール”に原点回帰するなど、何か選手間でシンプルな守備の規律を統一して共有させることは必要だろう。

 攻撃陣が上手く嚙み合って爆発した時であれば、多少の失点はエンターテイメントを演出する要素にもなる。しかし、それもあまりに放っておくと、来季CL出場圏獲得の目標を達成する上で、致命的な足枷となりかねない。

 エスパニョール戦では、先発したガビ、トーレス、トラオレの3トップに始まり、トーレス、オーバメヤン、トラオレの3トップ、左右両サイドにデンベレとトラオレ+トーレスとオーバメヤンの2トップと攻撃陣は変化していったが、終ぞ噛み合わず……。結局、同点ゴールを決めたのはルーク・デ・ヨングの高さだった。このように攻撃陣が低調なパフォーマンスに陥ってしまうと、やはり守備面の粗が目立ってしまう。

 次節は再びアウェイのバレンシア戦。この試合もアウベスはいない。アトレティコ戦は“一夜の夢”に過ぎなかったと割り切り、チームが抱える“課題”に正対することが、勝ち点3への近道なのかもしれない。

(文:本田千尋)

【了】

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