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マンCに完敗、マンチェスター・ユナイテッドに何が起きていたのか? シュート0、悪夢の後半を招いた「差」とは…【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

両チームの完成度に「差」がある理由



 ここまで辛辣に述べてきたが、両チームに「組織力」や「連動性」で差が出るのは致し方ないことかもしれない。

 ジョゼップ・グアルディオラがシティの監督に就任したのは2016/17シーズン。現在トップチームに23名の選手が所属しているが、そのうちペップ就任以前から在籍していた選手はデ・ブライネとフェルナンジーニョ、ラヒーム・スターリングの3名のみだ。それ以外の21名がペップ政権で獲得した選手、もしくはアカデミーから昇格させた選手であり、シーズンを追うごとにその完成度は高まっている。

 その一方でユナイテッドは、解任されたオーレ・グンナー・スールシャール元監督に代わってラングニックを昨年11月末にシーズン終了までの契約で暫定監督に招聘。途中就任のためチームに指揮官のスタイルを落とし込むのに十分な時間がない上に、今冬に補強を行わなかったことからラングニックが求めるサッカーはできずにいる。

 こうしたことからも両チームに完成度の差が生じるのは明らかだ。ユナイテッドはラングニックを暫定監督に招聘し、いわゆる「レッドブル系列」のスタイルへと方向転換をすると決めたのであれば、そのスタイルに合わない選手の人員整理を行い、今夏にも売却益で新監督と新加入選手を向かい入れる必要がある。

 今夏の移籍市場で優位に動くためにも、今季のプレミアリーグで4位以内に入り、来季のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権を獲得することは極めて重要なミッションとなる。だが、ユナイテッドはプレミアリーグの残り10試合でリバプール、チェルシー、アーセナル、トッテナム、レスターといった難敵との対戦が控えている。現状ではユナイテッドより消化試合が3つ少ないアーセナルが勝ち点1差で4位と上回っており、これ以上勝ち点を落とす余裕は残っていない。シーズン終了までの残り2ヶ月弱、ユナイテッドにとっては厳しい戦いとなるだろう。
(文:安洋一郎)

【了】

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