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バルセロナはボロボロだった。らしくなかった45分間、ソシエダ撃破に払った大きな代償とは【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

重要な役割を担っていたベテラン

ダニエウ・アウベス
【写真:Getty Images】



 先述した通り、前半のバルセロナはしっかりとした守備から効率の良い攻撃に繋げることができていた。その中で重要な役割を担っていたのが、38歳のダニエウ・アウベスである。

 中盤ダイアモンド型の4-4-2を採用してきたソシエダに対し、右サイドバックで先発したD・アウベスはビルドアップ時においてインサイドにポジショニングしていた。これにより、ソシエダの中盤3枚に対しD・アウベス、セルヒオ・ブスケッツ、フレンキー・デ・ヨングの3枚で当たることができ、前線は本来インサイドのガビが一列上がることで、4対5の状態を作り出すことができた。

 そして後ろはソシエダの2トップに対しジェラール・ピケ、ロナルド・アラウホ、ジョルディ・アルバの3枚で数的優位を保つ。この場合、外側のJ・アルバがフリーになりやすく、実際11分に誕生した先制点は同選手の巧みな攻撃参加がキッカケとなっていた。

 16分にF・トーレスに訪れた決定機は、D・アウベスの動きが起点となっている。内側から背後へのランニングで左IHのアドナン・ヤヌザイを深い位置へ下げさせると、その後再びポジショニングを修正。そして最後は最終ラインでの守備に慣れていないヤヌザイの背後を突いてウスマンヌ・デンベレからのパスを引き出し、グラウンダーのクロスでF・トーレスのシュートを演出した。

 このように、普通のSBとは異なるポジションを取るD・アウベスと、それにより各エリアで優位性を保てたことが、バルセロナにとっては大きかった。ソシエダのハイプレスは強力だったが、前半はそれほど苦労しなかったのは、ここが大きな要因と言えるだろう。

 しかし、先述の通り後半はソシエダに流れが渡ることになる。その理由は、同クラブを魅力的な軍団へと築き上げたイマノル・アルグアシル監督による修正力があったからだ。

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