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バルセロナはボロボロだった。らしくなかった45分間、ソシエダ撃破に払った大きな代償とは【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

満身創痍だったバルセロナ



 D・アウベスの存在が厄介になっていたことで、アルグアシル監督は後半、左IHのヤヌザイを内側ではなく、大外に張らせたのである。つまり、これによってD・アウベスのポジションを半ば強制的に外側へとつり出したのだ。

 こうして前半とは違う形を“強いられた”ことで、バルセロナの攻撃は停滞。ソシエダの勢いが増したこともあってすぐにボールを失うようになり、本来シャビ監督が求める「ボールを保持し、敵陣でのプレー時間を増やす」というミッションを果たせなくなっていた。

 バルセロナは中盤で流動的に動くミケル・メリーノとラフィーニャをなかなか捕まえられず、194cmの長身を誇るFWアレクサンダー・セルロートのポストプレーと背後へのランニングにもかなり苦労した。決定的なシーンを何度も作られ、GKマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンのセーブに再三救われた。

 相手の修正にハマり防戦一方となる中、守備陣への負担が大きく、55分にはアラウホが負傷交代。66分にはD・アウベスまでも交代を余儀なくされた。また、もともと万全な状態ではなかったピケは試合中に何度も足を気にしており、82分にようやくベンチへ。さらに、フル出場こそしたが、J・アルバも足を痛めていた。

 守備陣がボロボロになったことで、シャビ監督は疲労の色が隠せなかった攻撃陣の交代にも踏み切れず。後半のバルセロナはまさに満身創痍だった。

 最後はソシエダの決定力不足に救われる形で、1-0の勝利を手にしたバルセロナだったが、上記した通り守備陣が立て続けに負傷するなど、勝ち点3獲得に払った代償は決して小さくない。シャビ監督にとっても、ストレスの溜まるゲームだったことだろう。

 肉体的にかなりのダメージを負ったバルセロナだが、次のラージョ・バジェカーノ戦は中2日でやって来る。来季のチャンピオンズリーグ(CL)出場権獲得を目指す上で、ここは一つ正念場となりそうだ。

(文:小澤祐作)

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