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スペイン代表が示した“新たな強さ”。黄金期再来か? ポルトガル代表戦で見えた新スタイルを体現するMFとは?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

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 UEFAネーションズリーグAグループ2第1節、スペイン対ポルトガルが現地時間2日行われた。1-1の引き分けに終わったが、ホームのスペイン代表は自分たちのスタイルを存分に発揮することが出来ていた。かつて黄金期を迎えたデル・ボスケが率いたチームとはまた違った今のスペイン代表が目指すスタイルとは? (文:安洋一郎)

再び上向き始めたスペイン代表

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【写真:Getty Images】



 11月に開催予定のカタールワールドカップに向けて、スペインとポルトガルの両チームは共に6月と9月に計6試合開催されるUEFAネーションズリーグでチームの完成度を高めなければいけない。その中で今節はネーションズリーグの初戦を飾る重要な一戦となった。

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 今回のスペイン代表はベストメンバーが揃っているとは言い難く、通常であればスタメン出場の確率が高いアイメリク・ラポルテ、チアゴ・アルカンタラ、ペドリ、ミケル・オヤルサバルの4名が怪我により代表メンバーから外れている。今回のような主力の離脱は11月の本大会で起きてしまう可能性もあるため、「一部主力が不在の中でどうのように戦うのか」という視点で見ると、3大会ぶりのワールドカップ優勝を狙うスペイン代表にとっては良い予行演習となっている。

 話題は今節から少し逸れるが、前提として述べておくべきことがある。それは近年のスペイン代表は「国際大会において結果を出すことが出来ていない」ということだ。シャビ・エルナンスやアンドレス・イニエスタ、ダビド・ビジャらを擁した約10年前のラ・ロハ(スペイン代表の愛称)の強さは凄まじく、ユーロ(欧州選手権)の2連覇や南アフリカワールドカップでの優勝など、列強がひしめく国際舞台においても敵なしの状況だった。

 しかし、14年のブラジルワールドカップでまさかのグループステージ敗退を喫すると、16年のユーロと18年のロシアワールドカップではどちらもベスト16止まりと、数大会に渡って苦戦を強いられていた。

 こうした悪い流れを変えたのが現在の指揮官であるルイス・エンリケだ。監督に就任して以降、代表は徐々に強さを取り戻しており、前評判が悪かった中でも昨夏に行われたユーロ2020(欧州選手権)ではベスト4に進出している。

 スペイン代表が強さを取り戻した要因となっているのが、チームとしてのスタイルの大幅な変更だ。それを象徴する場面が今節の25分に決まった先制点の場面である。

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