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スペイン代表が示した“新たな強さ”。黄金期再来か? ポルトガル代表戦で見えた新スタイルを体現するMFとは?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

この試合で最も目立っていた“17歳”



 かつてバルセロナでポゼッションサッカーを創り上げたジョゼップ・グアルディオラも現在率いるマンチェスター・シティでは、今のスペイン代表と同じように「即時奪還からの速攻」をチームの戦い方の軸に据えて強化している。ルイス・エンリケ監督もこうした現代サッカーのトレンドを取り入れており、このエッセンスをスペイン代表に昇華したことでラ・ロハは再び上向き始めている。

 このサッカーをスペイン代表で成立させるために欠かせない選手となっているのが今季ラ・リーガデビューを果たしたばかりの17歳のガビである。今季バルセロナで公式戦47試合に出場したこの若武者は、昨年10月にA代表デビュー。代表デビュー以降は毎試合出場するなど、瞬く間にルイス・エンリケ監督の信頼を掴んだ。

 ガビが既に代表に欠かせない存在になっているのは、ハードワークを欠かさず、ボールを奪ってから正確なボールを前線に供給できる選手であるからだ。まさに今のスペイン代表の戦術にピッタリと合う選手であり、コケやマルコス・ジョレンテといった実力者を差し置いて、不動のスタメンに定着している。前述したカウンターの起点となった場面をはじめ、この試合では圧倒的な運動量と鋭い縦パスで多くのチャンスを演出していた。

 今節には怪我の影響で出場することができなかったが、バルセロナの同僚でもあるペドリが戻ってくれば、インサイドハーフでコンビを組み、代表で共闘する機会が増えると予想されている。かつてのシャビやイニエスタのようにバルセロナで連係を深め、それが代表に還元できるようになれば、彼らを中心にスペイン代表は再び黄金期を迎えるかもしれない。

(文:安洋一郎)

【了】

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