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ドイツ代表はゴール前で迫力なし。何が足りないのか? 新スタイルは徐々に浸透も、イタリア代表に勝てず【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

今のドイツ代表に足りないものとは?


 チームとしての方向性が定まっていた中で気になったのがヴェルナーのプレーだ。裏抜けやサイドに流れてからの仕掛けなど彼の持ち味が発揮されていた場面も多かったのだが、肝心なボックス内での仕事は全くできていなかった。

 今節も何度かサイドからのクロスがヴェルナーの下へと渡ったが枠内シュートはおろか、1本もシュートを打てずに試合は終了している。フル出場してシュート0本は最前線で出場した選手としては明らかに物足りないだろう。

 他の代表チームであれば、ヴェルナーは交代、もしくは追加でFWがピッチに投入されるだろうが、結果はヴェルナーは交代とならず、追加でFWが投入されることもなかった。というのも、今のドイツ代表にはかつてドイツ代表の最前線に君臨したミロスラフ・クローゼやマリオ・ゴメスのようなボックス内で得点を量産できるタイプの選手がいないのだ。それはブンデスリーガの得点ランキングを見ても明らかで、今季ドイツ人で最もゴールを決めていたのはセルジ・ニャブリの14ゴール、次にヨナス・ホフマンの12ゴールとサイドを主戦場とする選手が1位、2位と続いている。

 また、フリック監督がかつて率いたバイエルン・ミュンヘンにはロベルト・レヴァンドフスキがいた。今のドイツ代表には彼のようなストライカーがいないのだ。

 こうしたストライカー不足が懸念されている中で先日行われた会見でフリック監督が注目の発言をしている。それは今季2部のシャルケで30ゴールを決め、得点王に輝いた34歳のシモン・テロッデ招集の可能性についてだ。192cmという身長とボックス内での強さは今のドイツ代表にいないタイプのストライカーであり、年齢関係なしに、来季1部で活躍した場合は代表に招集する可能性を示唆している。

 今節は同点ゴールを奪った場面ではエリア内までキミッヒが上がっていたが、それ以外の場面ではボックス内で驚異を感じた場面はほとんどなかった。ヴェルナーやアデイェミらスピード系のFWとは違い、ボックス内で強さを発揮するテロッデのようなタイプの選手もオプションとして本大会に向けては招集を検討するべきだろう。

(文:安洋一郎)

【了】

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