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鎌田大地が乗り越えた2つの試練。屈辱的な交代と公開説教、「ゼロ」から掴んだ信頼とEL優勝【21/22欧州日本人総括コラム】

シリーズ:21/22欧州日本人総括コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

結果の出ない鎌田に訪れたもう一つの試練



「今季のブンデスリーガでなぜゴールやアシストでうまくいかないのか、自分でもよく分からないんです。ELはレベルが1つ高いから、そっちの方が居心地が良いのかもしれませんね(笑)。でも真面目な話、ここまでブンデスリーガでゴールを脅かすことができないのは謎です」

 結局、鎌田のブンデスリーガ前半戦の成績は16試合1得点1アシストだった。もちろんパフォーマンスの良いゲームがなかったわけではなく、11月以降は主力としての地位も確立していたが、やはり攻撃的MFとして満足いく結果とは言い難い。状況は異なるが、昨季は同時期に2得点6アシストを記録していた。

 そんな鎌田に更なる試練が訪れたのは、今年2月のことだ。

 ブンデスリーガ第23節、敵地でのケルン戦。この日の鎌田はベンチスタートで、セバスティアン・ローデとの交代で後半頭よりピッチに立った。しかし、膠着した展開の中でなかなか輝きを放てずにいると、84分に失点に関与。すると、途中出場にも関わらず、グラスナー監督によって後半ATにベンチへ下げられることになった。

 0-1で敗れ2連敗となったこともあり、グラスナー監督の怒りは爆発した。ケルン戦終了後、同指揮官は決勝ゴール献上に関与した鎌田の元へ向かい、雷を落としている。またドイツ『ビルト』によると、グラスナー監督はロッカールームでも大きな声で怒りを露わにしていたのだという。

 途中出場で途中交代という屈辱的な罰を受け、監督から公の場でお説教…またそれまでの物足りない成績も相まって、鎌田に対し地元メディア、また一部サポーターからは厳しい声が挙がっていた。続くバイエルン戦は怪我の影響や戦術的理由もあってスタメン落ち。82分に出番がやって来たが何もできず、チームも0-1で敗れてリーグ3連敗となった。

 鎌田にとってこの時期が最大の正念場だったことは間違いない。上記の通りフランクフルトで思ったような結果が出せず、この時すでに4-3-3へとベースフォーメーションをチェンジした日本代表での立場も怪しくなっていた。このままいけば、昨季高めた評価を一気に落としてしまうことは目に見えていた。

 しかし、鎌田は不屈の精神でこの逆境を跳ね除けることになる。

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