フットボールチャンネル

誰にもできることではない。南野拓実がリバプールで証明した価値とは? 世界最強軍団で感じた悔しさと充実感【21/22欧州日本人総括コラム】

シリーズ:21/22欧州日本人総括コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

リバプールでの経験は無駄にならない

南野拓実
【写真:Getty Images】



 それでも、リバプールで過ごした2021/22シーズンが今後のキャリアで無駄になることはないだろう。確かに南野にとって悔しい1年になったかもしれないが、限られた時間の中、それも高いモチベーションを維持するのが容易ではない中で公式戦2桁得点を記録したのは、繰り返しになるが立派である。本人にとっては「当たり前」のことでも、誰でもできるようなことではない。

 南野に対してはフランスのモナコが移籍金1800万ユーロ(約21.6億円)ほどでオファーを提示したと報道されている。『transfermarkt』による日本代表FWの市場価値は1200万ユーロ(約14.4億円)とされているので、モナコはかなり高く評価していると言えるだろう。

 その評価を勝ち取ることに成功したのは、他でもない、南野自身がしっかりと結果を残したからである。確かにリバプールでは最後までサブ要員で、周囲との差を痛感させられたかもしれない。それでも、850万ユーロ(約10.2億円)でリバプールに加入し、1800万ユーロ(約21.6億円)で出ていくことが濃厚なのだから、日本人FWが世界的ビッグクラブに残すものは決して小さくないと言える。そこは大いに胸を張ってもいいのではないだろうか。

 南野の加入が間近とされているモナコは、リバプールと比べればやはり格が落ちるかもしれないが、実力のあるクラブだ。過去にはキリアン・エムバペやファビーニョ、ベルナルド・シウバらが同クラブで経験を積み、世界トップレベルの選手へと進化を遂げていった。現在もウィサム・ベン・イェデル、ケビン・フォラント、アレクサンドル・ゴロビン、ソフィアン・ディオプといったハイレベルな選手たちが在籍しているため、南野にとって更なるレベルアップを図る上で、モナコが良い刺激を受けられる場所になることは確かだ。

 世界最強のリバプールで培った貴重な経験は、間違いなく南野にとってプラスになる。それを次なるクラブでの活躍、そして5ヶ月後に迫ったカタールワールドカップでの活躍に繋げてほしいところだ。

(文:小澤祐作)


【了】

1 2 3

KANZENからのお知らせ

scroll top