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レアル・マドリードが体現する“合理的な思考”とは? アンチェロッティの志向と4ゴールの共通点【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

4ゴールに共通するものはまさに…



 48分にバルベルデが自陣から独走してミドルを突き刺し、前半のうちに追いつくと、72分には、交代で入ったモドリッチからパスを貰ったロドリゴが、自らドリブルでライン間に入っていき、左手前のヴィニシウスにパス。このボールをブラジル代表FWが軽やかに決めて、逆転に成功。さらに89分にはロドリゴが単独で右サイドを突破して、3点目を奪う。

 そしてアディショナルタイムには、FKのチャンスからアントニオ・リュディガーが左足ダイレクトで突き刺して4点目――。結果、4-1でマジョルカに大勝した。

 この4つの得点に共通するのは、“勝負所”で「よりダイレクトに」敵のゴールに迫っていることだ。決してポゼッションにはこだわっていない。むしろレアルの選手たちは、ポゼッションにこだわるとかえってブロックの攻略に行き詰まる、といったような共通認識を持っているようですらある。なるほどポゼッションにこだわらなければ、目の前の固い守備ブロックに対してパスを繋いで崩せないことによる心理的負担も軽減する。

 いずれにせよ、「ポゼッションにはこだわらない。よりダイレクトにゴールを狙う」といったアンチェロッティ監督の“合理的な思考”を体現するようなサッカーで、レアル・マドリードの選手たちは、引いて固めたマジョルカを粉砕した。

(文:本田千尋)

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