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欧州最高峰の舞台で旗手怜央が輝く理由。“得点”シーンだけではない、サッカー日本代表MFが果たす貴重な役割とは?【欧州CL分析コラム】

text by 編集部 photo by Getty Images

旗手怜央が中盤で果たした仕事とは



 マドリー戦でも躍動した日本代表MFがCL初ゴール!……かと思われたが、後半に入ってから記録はシャフタールのMFアルテム・ボンダレンコのオウンゴールと訂正されてしまった。旗手のシュートは間違いなくゴールに向かっていたが、スライディングでブロックを試みたボンダレンコの足に当たってコースが変わっていたのが理由だと思われる。

 残念ながらCLでの日本人史上9人目のゴールとはならず。ただ、旗手が輝いたのはこのチャンスシーンだけではない。特に前半は攻撃を組み立てるにあたって重要な役割を果たしていた。

 4-3-3の左インサイドハーフとして起用された旗手は、4-1-4-1の布陣で戦う相手の隙を見逃さなかった。相手アンカーのMFタラス・ステパネンコの脇にできるスペースを積極的に活用し、フリーで味方からのパスを引き出してテンポよく捌いていく。

 シャフタールのカウンターの勢いは凄まじかったが、中盤の底でMFカラム・マクレガーがボールを奪い、旗手につなげて反撃していく流れがしっかりと出来上がっていた。旗手とオライリーがMFアーロン・ムーイやMFデイヴィッド・ターンブルと交代した後、シャフタールのプレー強度は著しく低下し、セルティックがより容易にボールを支配できる環境になっていたのが、先発組の仕事の成果だろう。

 セルティックとシャフタールの前半のボール支配率はほぼ50:50だったが、後半は62:38まで差が広がっていた。シュート数でも前半が5:3だったのに対し、後半は11:2とセルティックが大きな差をつけた。

 29分にMFミハイロ・ムドリクが奪った同点弾の場面に象徴されるように、前半のシャフタールは効果的なカウンター攻撃を繰り出せていた。しかし、そのカウンターやボールを奪うことに対する労力がじわじわとシャフタールの選手たちのエネルギー残量を削っていっていたのだろう。

 もしウクライナ代表GKアナトリー・トゥルビンの好セーブ連発がなければ、セルティックが後半に押し切って勝ち点3を手中に収めていたはずだ。

 マドリー相手にも躍動していた24歳の日本代表MFは、シャフタール戦でもセルティックのキーマンだった。古橋やFW前田大然がなかなか結果を残せていない一方で、旗手は欧州最高峰の舞台で好印象を残し続けている。

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