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なぜアーセナルはトッテナムを圧倒できたのか? 見事な対応と本物の強さを支える男【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 阿部勝教 photo by Getty Images

ライバルを圧倒したアルテタ戦術



 5-4-1の守備ブロックを敷いたトッテナムに対し、アーセナルはパーティをアンカーに置いた4-1-4-1を採用。中央を固められたためボールをサイドに散らし、両サイドのブカヨ・サカとガブリエウ・マルティネッリを起点とした攻撃を展開した。

 この攻撃が功を奏し、ペナルティーエリア右からブカヨ・サカがドリブルで仕掛けると、ソン・フンミンをかわしてシュート。これはウーゴ・ロリスに防がれたが、こぼれ球をガブリエウ・ジェズスが押し込んで勝ち越しに成功した。

 この失点後、トッテナムは引いた守備からハイプレスにシフト。2シャドーに入ったソン・フンミンとリシャルリソンを起点とした前線からの積極的な守備、さらにポゼッションとカウンターを織り交ぜた攻撃を繰り出し、戦術に変化を付けてきた。

 だが、アーセナルは両CBをやや低めの位置において相手の縦パスを跳ね返すと、セカンドボールはパーティが回収。中央を固めてサイドに追いやるなど、変化を付けてきたトッテナムの攻撃に瞬時に対応し、パイプレスは背番号5を中心としたパスワークで難なくかわしていた。

 すると、痺れを切らしたのか、自陣でボールを持ったマルティネッリに対してエメルソン・ロイヤルが後ろから足首を踏みつけて一発退場。数的優位となったアーセナルは、エメルソンが抜けた左サイドから一気に攻撃を仕掛け、67分にグラニト・ジャカのゴールで点差を2点に広げた。

 これで試合はほぼ決着。エメルソンの退場は大きな要因だったが、アーセナルは第8節を終えた時点でリーグ2位の19得点を挙げていたトッテナムをシュート7本に抑え、ボール保持率60%、シュート本数22本と圧倒して3-1でノースロンドン・ダービーを制した。

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