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「勝てるわけがない」マンU完敗の理由。明らかになったマンCとの差とは?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

テン・ハグ監督の誤り



 両チームの完成度の差は、監督の指導期間の差からも明らかだった。選手たちの不甲斐ないパフォーマンスも敗戦の理由の一つだが、指揮官が最初に送り出したスタメン11人とゲームプランにも疑問が残る。

 ユナイテッドはリーグ戦では4連勝中とイメージが良かったことや代表ウィーク明けと、スタメンを入れ替えるのは難しいかったのは事実だが、「対シティ対策」が何も見られず、いつも通りのメンバーで、何か特別な対策をせずに戦いを挑んだのは、結果論にはなるが「誤り」だったと言わざるを得ない。

 「ハーフタイムにいくつかのことを変えて、チームの姿勢を変えた」とテン・ハグ監督が語ったように、後半になるとユナイテッドの選手の目つきが代わり、56分にはアントニーのミドルシュート、84分、90分には途中出場のアントニ・マルシャルにゴールが生まれ、3点を返すなどポジティブな面も見受けられた。

 しかし、ユナイテッドほどのビッグクラブを率いている、ましてや地元のライバル相手のダービーマッチであれば、前半終了を待たずしてもっと早くその修正を行うべきだっただろう。その結果、前半で4ゴールも奪われ、早々に勝負が決してしまった。

 例えば、フレッジやカゼミーロら中盤でフィルターとなれる選手を多く起用し、シティのパスを引っ掛けてカウンターを狙うことや、守備の穴となるジョアン・カンセロのサイドから攻め続けるなどの工夫もできたはずだ。だが、前半は最終ラインからパスを繋いで、それをシティの選手にカットされてショートカウンターを何度も受けるなど、全てが中途半端だった。

 次回オールド・トラッフォードで行われるマンチェスター・ダービーは、年明けの1月の第2週に予定されている。テン・ハグ監督やその他コーチ陣、選手たちは今回の反省を受けて、ホームでリベンジを果たすことができるだろうか。それまでに現在は定まっていない、自分たちのサッカースタイルを確立しておきたいところだ。

(文:安洋一郎)

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