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古橋亨梧らはまだ欧州最高峰に追いつけていない。セルティックが見た現実【欧州CL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 舩木渉 photo by Getty Images

ティモ・ヴェルナーが見せつけた違い


【写真:Getty Images】



 75分にライプツィヒの先制ゴールが決まってから、積極的な選手交代で流れを変えようと試みた。ところが、状況はどんどん差し迫ったものになっていく。するとポステコグルー監督が顔を覆って下を向く回数がどんどん増えていった。

 いつも不用意に近づいたら怒られそうな雰囲気を漂わせてテクニカルエリアに立っている指揮官があんなに弱気な表情を見せ、試合から目を逸らすようなアクションを取ることが珍しいからか、中継カメラも両手で顔を覆うポステコグルー監督の様子を度々アップで抜いた。

 初めてのCLに挑んだオーストラリア人指揮官を失意のどん底に突き落としたのは、ドイツ代表ストライカーだった。

 左サイドに抜け出したFWアンドレ・シウバが上げたクロスにFWティモ・ヴェルナーが頭で合わせる。文字にすると簡単に見えるが、昨季までチェルシーでプレーしていたストライカーは左の深い位置からマイナス方向にちょこんと浮いたボールにとっさの反応で合わせ、スペースが限られる中でもゴールまで距離のあるヘディングシュートを正確にコントロールして見せた。

 さらに84分にスウェーデン代表MFエミル・フォルスベリが追加点を決めた場面でも、ヴェルナーの冷静さが光った。左サイドで味方からのロングボールを受けたライプツィヒの背番号11は、対峙した相手を抜き去るのではなく、ペナルティエリア内であえて止まった。

 そして、追いついてきたフォルスベリがゴール前に入ってくるタイミングにピタリと合わせて、相手ディフェンスの隙間を縫うショートパスでお膳立て。百戦錬磨のスウェーデン代表はツータッチ目でゴールネットを揺らし、ライプツィヒの勝利を決定づけた。

 ヴェルナーが見せた、ここぞの場面での集中力と冷徹さ、高いレベルの基礎テクニック、そして決定力はCLを勝ち抜くにあたって求められるクオリティをよく示していたのではなかろうか。不遇だったとはいえチェルシー時代にCL王者の一員でもあったストライカーは、セルティックの選手たちに違いを見せつけた。

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