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サッカーライターが感じる危機感。「ポジショナルとか5レーンとか」「置き去りにされている人たちがいる」

text by 編集部 photo by Getty Images

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 株式会社カンゼンが主催するサッカー本大賞は、その年に出版されたサッカー関連書籍から優れた書籍を毎年表彰している。サッカー本といえど、戦術や伝記、観戦術などジャンルは様々。今回は年間300試合以上を観戦し、未経験からJリーグの分析官に転身した龍岡歩氏を招いた。「サッカー店長の戦術入門 『ポジショナル』vs.『ストーミングの未来』」「サッカーフォーメーション図鑑 配置の噛み合わせが生む位置的優位性を理解する」の2冊を執筆した書き手としての一面も持つ龍岡氏をゲストに、『MILKサッカーアカデミー』のノーミルク佐藤氏、井上マー氏、フットボール批評の石沢鉄平氏が聞き手となり、書き手から見たサッカー本について掘り下げていく。


【写真:Getty Images】


「いいB級映画ありますよ。同時上映していますよ」

――これからワールドカップもありますけど、面白い切り口を考えていたりしますか?

「時間があれば全試合やりたいですよね。ドイツ対オランダとかじゃなく、マニアックなところ行きたいですね」


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――エクアドル対カナダとか。

「そういう試合の方が実は個で試合を作れないので、意外といい戦術合戦になる。ワールドカップって隠れた好試合があるんですけど、どうしても語られるのって大駒同士の派手な大作だったり。いいB級映画ありますよ。同時上映していますよって。B級だけあえて集めるみたいな。A級は他の人も書くと思うのでお任せします」

――将棋など他の言葉で喩えてくれると分かりやすいですよね。

「横文字のような難しい言葉よりは、自分が理解するために自分の肌感覚でサッカーの現象を落とし込んで脳に変換して収めるっていうのを日頃やっているんですよ。だからあんまり自分が理解していない、しっくり来ていない言葉を借りてくるのは好きじゃないです。それだったら、まだ誰も言っていないけど、自分の中で日本語に変えて納得している方が覚えやすいというか。カッコよさは削られてしまうと思うんですけど、わかりやすさ重視というか」

――知識量が凄いのにマウントを取ってこない。

「難しい横文字を説明するのにその説明に横文字があると離脱せざるを得ないので」

「置き去りにされている人たちがいるんじゃないのかな」

――売れるサッカー本というのはどういうものだと思いますか。

「流れ的に今は情報がグローバルになって、どんどん入ってきているんですけど、本当に一部の上位5%の知識人たちのお戯れみたいになっていて、置いていかれている人もいるのかなと。でも、芯は外さないのも大事なので、ノリとしては軽めなんだけど、こういう表現の仕方あるよねと(いうのがあってもいい)」

「みんな試合を見るためだったり、指導者として普段ピッチにかかわっている人だと思うので、ピッチで起こる現象を理解するため、ピッチで起こる現象をアップデートさせるための理論だったりする。ピッチで何が起きることなのっていう変換は図とかも使って分かりやすい言葉を使いたい」

「なんとなく流通しているポジショナルとか5レーンとかストーミングとか、このタイミングで1個カチっとわかりやすくするというのがあってもいいんじゃないのかなって。置き去りにされている人たちがいるんじゃないのかなっていうのは自分も危機感を感じていたりします。

――まさにおっしゃられたことが2冊に込められている感じはしますね。

【プロフィール】龍岡歩(たつおか・あゆむ)

1980年、神奈川県生まれ。1993年のJリーグ開幕戦に衝撃を受け、12歳から毎日ノートに戦術を記し徹底的に研究。28歳からブログ『サッカー店長のつれづれなる日記』を始め、現スポーツX社に鋭い考察を評価され入社。 同社が経営する藤枝MYFC(J3)の戦術分析長として4シーズン在籍。現在はJFL昇格を目指すおこしやす京都AC(関西1部)の戦術兼分析官。

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