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無秩序にも見えたバルセロナとレアルの合理性。差が露わになったエル・クラシコ【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

CL結果も勝敗に影響?



 こうして「低い位置でブロックを構築して守り、カウンターを仕掛ける」戦術で、後半もゲームを支配したのは“エル・ブランコ”の選手たちだった。

 84分に右サイドをアンス・ファティに突破され、折り返しをレバンドフスキが後ろに逸らし、フェラン・トーレスに1点を返されはしたが、その攻撃は戦術的な意図が実ったというよりは、単発的なものだった。89分にはカウンターからロドリゴがPKを獲得。21歳のブラジル代表FWが自らこのチャンスを蹴って、ダメ押しの3点目――。試合を通して「低い位置でブロックを構築して守り、カウンターを仕掛ける」守備戦術と、敵に対するプレスやマークを徹底したレアルが“エル・クラシコ”を3-1で制し、レアルがリーガで単独首位に立った。

 このように守備の機能で差が出た今回のクラシコだったが、そこには直近のCLの結果も影響したかもしれない。レアルもバルサと同じく、5日前のシャフタール戦で土壇場で追い付きドローに終えたが、グループ突破を決めるというポジティブな結果に終わった。

 対するバルサは、グループ突破が絶望的な状況に追い込まれた。CLの結果がクラシコに臨む両チーム全体のメンタリティに影響し、ひいては守備に対する意識の差、守備の機能の差となって現れた側面もあるだろう。

 いずれにせよ、チームとして守備戦術を共有してカウンター型を徹底し、「効率的」に得点を奪っていったレアルが、天下分け目の“エル・クラシコ”を制したのである。

 それは“いかにもアンチェロッティらしい戦い方”だった。

(文:本田千尋)

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