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手放しで喜べないアーセナルの大勝。2つの不安要素と沈黙が続く男の存在とは?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

ネルソンにサカの代役は務まるのか


【写真:Getty Images】



 一つ目の不安要素はブカヨ・サカの負傷交代である。前半途中に足首を痛めてピッチに座り込んだが、一度は出場を継続。だが、結果的に27分に負傷交代となり、ベンチへと下がった。

 試合後にミケル・アルテタ監督が残したコメントによるとサカは打撲による負傷交代だったそうで、長い離脱期間が必要となる筋肉系のトラブルでなかったことは、不幸中の幸いと言えるだろう。

サカの代わりに途中出場を果たしたのは、同じくアーセナルユース出身のリース・ネルソンだった。昨季の開幕戦以来のプレミアリーグ出場となったこの男は、後半開始早々にゴールネットを揺らすと、その後も1得点1アシストと5ゴール中3ゴールに関与する大車輪の活躍をみせた。

 エミール・スミス=ロウの負傷離脱、エディ・エンケティアの不調などアーセナルは途中出場からチームにプラスを与えてくれる攻撃的なオプションが少ないため、ネルソンがプレミアリーグの舞台で活躍してくれたことはチームにとっては好材料と言えるだろう。

 しかし、ネルソンがサカの穴を埋められるとは限らない。仮にサカが次節以降、複数の試合を欠場するとなると、アルテタ監督は結果を残したネルソンに出番を与えるだろうが、そこで活躍できる保証はない。というのも、ネルソンは今節のようにゴールに関与する活躍をすればフィーチャーされる選手だが、それ以外での貢献度の少なさがこれまでも度々指摘されている。

 抜群のテクニックの持ち主で、上手い選手が多いアーセナルの中でもトップクラスの技術を持ち合わせていることは間違いないが、周りの選手を使うことがあまり得意ではなく、自分の調子が悪いときや相手に封じられてしまったときの選択肢が少ない。そのため良いときと悪いときの差がハッキリとしており、どんな時でも安定して結果を残せるサカとは対照的な選手だ。

 辛辣かもしれないが、ネルソンで乗り切れるほどプレミアリーグやELは甘くはない。

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