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古橋亨梧や旗手怜央に足りないのは? レアル・マドリードが示した歴然の差【欧州CL分析コラム】

text by 編集部 photo by Getty Images

圧倒的だったレアル・マドリードのクオリティ



 もし古橋らにマドリー戦で局面を打開できる個のクオリティがあれば、森保監督も迷わずカタールワールドカップ出場メンバーに選んでいたはず。現時点でそれはまだなかった。むしろ日本代表がカタールの地で対戦する可能性のある国の選手たちに、個の力の差を突きつけられた。

 51分、スペイン代表DFダニ・カルバハルが右サイドの深い位置からスライディングでマイナス方向へクロスを上げると、スペイン代表FWマルコ・アセンシオがダイレクトシュートを放つ。利き足と逆の右足で繊細にコントロールされた一発がマドリーに3点目をもたらした。

 続く61分にはウルグアイ代表MFフェデリコ・バルベルデが右サイドから低い弾道の高速クロスを送ると、ニアサイドに詰めていたブラジル代表FWヴィニシウス・ジュニオールがGKとDFに寄せられながら鼻先でワンタッチシュート。マドリーはリードを4点に広げた。

 さらに10分後の71分、途中出場のスペイン代表DFルカス・バスケスが右サイドからマイナス気味にクロスを上げると、やや低めの位置で待っていたバルベルデが右足で合わせる。豪快なワンタッチでのミドルシュートをセルティックのゴール左隅に突き刺し、ダメ押しの5点目を奪った。

 マドリーに翻弄……いや、蹂躙されたセルティックは、自慢のハイプレスが機能不全に陥っていた。相手のボールホルダーに寄せても、それよりも早い判断で次々にパスを通され、プレスが全く追いつかない。

 前回大会王者の選手たちは激しく寄せられても、まるでプレッシャーを感じていないようなプレーでひらりひらりとかわしていく。時間とスペースを奪われる中、極めて正確な判断を高速で実行し続け、そのうえ正確性を損なうことがない。ここぞの場面で発揮する最大出力は、ゴールに直結するエネルギーを生み出す。

 セルティックの選手の中で唯一、光るものを見せたのは途中出場のFWジョタだった。前田との交代で62分からピッチに立ち、84分に直接フリーキックを沈めた。右脚のひと振りでクルトワの守るゴールを破った23歳は、A代表未招集ながら55人の予備登録リストに入っており、カタールワールドカップに向けて滑り込みでのポルトガル代表選出に近づいているとも言われる。スコットランドでプレーしていながら、A代表レベルで高く評価される理由を自らのプレーで証明した。

 結局のところ、セルティックはチームとしても個のクオリティでも、CLの舞台で決勝トーナメント進出を争うレベルに届いていなかった。それは前田や古橋、旗手といった日本人選手たちも例外ではない。

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