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スペイン代表は「負けていたかもしれない」。最高峰の一戦で的中した名采配とは?【カタールW杯】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

前半から目まぐるしい展開に


 試合の入りが良かったのはスペイン代表だった。コスタリカ代表戦での衝撃の7-0の勢いそのままにドイツ代表を圧倒。特に切り替えのスピードの差は両軍に大きな差があり、ドイツ代表にカウンターを打たせる前にボールを回収して、自分たちがボールを握った。

 ドイツ代表からすると苦しい展開が続いたが、その状況でも希望の光が見えたのがセットプレーだった。ヨシュア・キミッヒという優秀なキッカーにニクラス・ジューレ、アントニオ・リュディガーというヘディングに強い選手を擁するドイツ代表は、足元を得意とするスペイン代表に対して“高さ”でプレッシャーをかけた。

 40分にはそのセットプレーで、キミッヒからリュディガーへの完璧なクロスが渡りネットを揺らすも惜しくも、これはオフサイドの判定に。ノーゴールとなったが、このプレーで自信を深めたドイツ代表は前半終了まで自分たちが主導権を握ることに成功した。

 そして後半開始からは、ハーフタイムにハンジ・フリック監督の指示があったのか、前半以上に高い位置からプレッシャーをかけて強度を高めた。イルカイ・ギュンドアンをセルヒオ・ブスケツに当てたマンマーク戦術はピタリとハマり、ドイツ代表のペースで試合が進んだ。

 この悪い流れを変えるべく、スペイン代表のルイス・エンリケ監督が動いた。

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