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スペイン代表は「負けていたかもしれない」。最高峰の一戦で的中した名采配とは?【カタールW杯】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

悪い流れを変えたルイス・エンリケ監督の采配


【写真:Getty Images】


 後半開始から10分経たずしてエースのアルバロ・モラタを投入した。

 かつては決定機逸から批判を浴びることの多かったモラタだが、現在のスペイン代表では誰もが認める大エースである。特に直近では点が欲しいタイミングで必ずゴールを奪ってくれる頼りがいしかない選手へと成長している。

 そして投入からわずか8分後の62分、ルイス・エンリケ監督のこの采配がピタリとハマる。左SBのジョルディ・アルバがボールを持つと、モラタがドイツ代表DFニクラス・ジューレの背後から一瞬の加速で前に出た。そしてアルバのグラウンダーのクロスを右足のアウトサイドで合わせるという難易度の高いシュートで合わせて、守護神マヌエル・ノイアーの壁を破った。

 選手と喜びを分かち合ったモラタは自陣に戻る前に、そしてスタンドのスペインサポーターに向かって大きなガッツポーズをした。そこにはシュートを外し、自信なさげにしていたモラタはもういなかった。

 このエースの得点でスペイン代表は決勝トーナメント進出の確率が大きく高まる貴重な先制点を手にした。しかし、後がないドイツ代表がこのまま終わるはずはなかった。

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