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ドイツ代表に「国内が嫌悪」「自業自得」。W杯にドイツ国内が盛り上がれない社会的背景とは?

シリーズ:コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images

「サッカー選手がやるべきことがある」

 ドイツ代表は初戦の試合前に集合写真を撮る際、口を覆うポーズをとったことが話題になった。社会の多様性の発展を願うメッセージが込められた「One Love」という文字がしたためられた腕章(キャプテンマーク)の着用を、FIFAが認めなかった。FIFAは政治的なメッセージを禁止しており、カタール国内ではこうした行動が法に触れる恐れがあるというのを理由としている。

 それに抗議の意味を込めてドイツ代表はポーズをとった。しかし、ドイツ代表と異なる感情を抱くサッカーファンも多いという。

「試合前というサッカーに集中しないといけない場面で、政治的なパフォーマンスをするということにネガティブな感情を抱いている人が多い。実際に因果関係があるとは言い切れませんが、結果として勝って当然である日本との試合に負けました」

 先月23日、日本代表との初戦で、ドイツ代表は先制したものの、試合終盤に2失点を喫して敗れている。

「政治家には政治家がまずやるべきことがあり、サッカー選手にはサッカー選手がまずやるべきことがある。そういった壁を越えて、大事な試合でそこに頭を働かせるのは違うんじゃないかと。ドイツ国内のツイッターのトレンドワードとして『lächerlich(馬鹿らしい)』が上がりました」

 サッカーと社会を切り離して考えることはできないが、政治的な問題を「サッカーの舞台」で語ることには大きな問題がある。そして、ドイツ代表がこういったパフォーマンスを行うのはこれが初めてではない。

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