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アーセナルが狙われた“弱点”とは?リーグ最悪のスタッツ、苦戦を強いられた原因【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

アーセナルがリーグワーストを記録した弱点とは



 堅守が光ったブレントフォード守備陣に対して、アーセナルの守備陣には不安要素が多かった。

 特にこの試合で不安定だったのが右CBのウィリアム・サリバだ。ブレントフォードは低い位置でブロックを敷き、ボールを奪ってからは素早くアイバン・トニーとブライアン・エムベウモのツートップへロングボールを送り、鋭いカウンターを発動させていた。

 ブレントフォードはチームとして、あえてガブリエウ・マガリャンイスとの比較で空中戦に強くないサリバのいるサイドを狙い続けた。前節エバートン戦でもカルバート=ルーウィン相手に空中戦で苦戦を強いられたこのフランス代表DFは、今節も大苦戦。データサイト『Sofa Score』によると、サリバが空中戦で勝利できたのは11回中1回のみだった。その一方で対峙したトニーは13回中12回勝利と両者の明暗が大きく分かれている。

 ブレントフォード相手に空中戦で苦戦したのはサリバだけでない。ガブリエウ・マルティネッリ、トーマス・パーティ、エディ・エンケティアも空中戦で1勝もすることができず、アーセナルはチームとして29%(45戦13勝)の空中戦勝率に留まった。

 アーセナルが空中戦に弱いのは直近の2試合だけではない。1試合平均の空中戦勝利数11.4回(『Who Scoredを参照』)、空中戦勝率43.9%(『FBref』を参照)はいずれもプレミアリーグワーストだ。実際に直近2試合でセットプレーから失点を喫するなど、その不安要素が露呈し始めている。この先、相手チームはアーセナルに対して“空中戦”という弱点を狙い続けるだろう。これまでもリード時の試合終了間際にはロブ・ホールディングを投入するという手立てがあったが、それ以外の状況での対策もミケル・アルテタ監督は練る必要がある。
(文:安洋一郎)

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