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【ニューカッスルの快進撃エピソード1】歓喜と安堵。“嫌われ者”オーナー最後の大仕事とは? オーナー交代の一部始終

シリーズ:ニューカッスルの快進撃 text by WASSY photo by Getty Images

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2度の降格を経験し、プレミアリーグの下位が定位置となっていたニューカッスルが、今季はチェルシーやリバプールを上回る成績を残して上位に食い込んでいる。果たしてニューカッスルはどのようにして改革に成功したのか。エピソード1では革命の転機となったサウジアラビア資本の買収を焦点に当てる。(文:WASSY)



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スポーツ界に進出するサウジアラビア資本


【写真:Getty Images】

 2021年10月7日、ニューカッスル・ユナイテッドの買収が完了した。サウジアラビア政府系ファンド率いる共同体がクラブの株式100%を取得し、前オーナーであるマイク・アシュリーによる長期政権が遂に終焉を迎えたのだった。

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 この共同体は主に3つのステークホルダーから構成されており、サウジアラビア皇太子が強い関わりを持つと噂される政府系ファンド「PIF」が株式の80%を取得し、残りの20%をロンドンに本拠を置く投資会社PCPキャピタル・パートナーズと、実業家ルーベン・ブラザーズが経営するRBスポーツ&メディアが均等に分け合う。

 サウジアラビア政府は以前からスポーツ業界への進出を強めており、近年ではF1グランプリの招致に成功しているほか、新たなゴルフツアーを創設し物議を醸すなど、業界での存在感を強めてきた。国営企業は様々なスポーツイベントにおいてスポンサーとして企業ロゴを掲出しており、グリーンに彩られる会場を目にする機会も多い。

 フットボールに対する取り組みも以前から強化しており、多額の給与を支払って国内リーグに外国人スター選手を連れてくることも珍しくはなくなっている。この冬一番のトピックでもあったクリスティアーノ・ロナウドのアル・ナスル加入は記憶に新しいが、それまでにもアル・ヒラルを始めとした強豪クラブには欧州で実績を積んだ選手が多数在籍してきた。またスポンサー料を支払って同国の代表選手数名をスペイン1部リーグの数クラブに同時にレンタル移籍させるといった、ヨーロッパサッカー界へ進出する動きも近年は見せている。

 中東国家がオイルマネーを片手に欧州でのクラブ経営に殴り込むのもレアケースではなく、カタール資本のパリ・サンジェルマン、アブダビ資本のマンチェスター・シティといったチームはここ10年で飛躍的な成長を遂げている。同じように資金力を持つサウジアラビアが、欧州クラブ経営に参画し国家のイメージアップを図っても何ら不思議ではないが、その対象がニューカッスル・ユナイテッドだった理由はどこにあるのだろうか?

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