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【ニューカッスルの快進撃エピソード0】「クラブから出て行け!」嫌われ者、応援ボイコット、降格…。苦境に現れた1人の女性

シリーズ:ニューカッスルの快進撃 text by WASSY photo by Getty Images

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1990年代はリーグ上位を争っていたニューカッスルは、2000年代後半からは下位が定位置となり、2度も降格を経験した。昨季も残留争いを強いられていたが、今季はリバプールやチェルシーを上回る成績を残している。果たして、ニューカッスルはいかにして蘇ったのか。低迷の原因となっていた前オーナー時代から、現政権における改革までを、全4回に渡って振り返る。(文:WASSY)


自身のビジネスを最優先した前オーナー


【写真:Getty Images】

 ニューカッスル・ユナイテッドの快進撃が止まらない。今季はシーズン序盤から上位争いに絡み、チェルシーやリバプールといった強豪が成績不振に陥る傍らで、UEFAチャンピオンズリーグ出場権獲得は今や現実的な目標だ。サポーターが作り出す独特のノイズで知られる本拠地セント・ジェームズ・パークも、今季はひときわ盛り上がっている。ピッチの上で選手が躍動すれば、ファンは90分間を通じて惜しみない声援を送り、チームを後押ししてきた。

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 だが、ほんの1年半前までスタジアムの雰囲気は全く異なるものだった。声援が生み出す迫力こそ今と同等だったが、チャントのほとんどは“嫌われ者”だった前オーナー、マイク・アシュリーに向けられた批判的なものだったからだ。

 マイク・アシュリーがニューカッスルを買収したのは、2007年7月のことだった。それからの14年間、チームは低空飛行を続けることになるのだが、それは主にアシュリーがスポーツクラブとしての成功は二の次で、自身のビジネスを最優先にするスタンスを貫いていたことが原因だ。

 プレミアリーグが創設された90年代、同クラブは優勝候補の一角で、マンチェスター・ユナイテッドとの争奪戦を制し、FWアラン・シアラーを当時世界最高額の移籍金でブラックバーンから引き抜くなど、マーケットでの存在感も大きかった。だが過度な投資が積み重なった結果として負債が膨れ上がり、2000年代中盤になると徐々に成績も振るわなくなっていく。

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