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アーセナルはまだ進化する。頼れる「2つの心臓」とレスターを完璧に封じた方法【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 編集部 photo by Getty Images

「信じられないくらいに素晴らしかった」



 先発メンバーで最大の変更点は、最前線にエディー・エンケティアではなくレアンドロ・トロサールを起用したことだ。冬に加入したこのベルギー人アタッカーは広範囲に動き回り、空いた最前線のスペースを両ウイングと両インサイドハーフの4人が入れ代わり立ち代わり侵入することで、4-4-2のコンパクトな陣形で守るレスター守備陣に混乱を生じさせようとしていた。

 ただ、先述した通り戦力的格差がなくなったプレミアリーグでは、そう簡単に崩すことはできなくなった。しかし、そこでブレないのが今のアーセナルの躍進を支えている。前節と違っていたのはトランジションの強度で、ボールを奪い返す速さと圧力はレスターを圧倒していた。結果的にアーセナルはレスターに72分までシュートを許していない。

 レスター戦後にアルテタ監督は「守備は信じられないくらいに素晴らしかった。レスターのホームでシュート1本に抑えることは難しいからね」と選手のパフォーマンスを称えている。

 データサイト『WhoScored』によるとブカヨ・サカはチーム最多となる3つのファウルを記録している。ファウルとボール奪取は表裏一体で紙一重。タックル成功も2度、インターセプトも1度マークしており、この数字からもいかに守備強度が高かったがわかる。

 連動したディフェンスでボールを奪い返し、試合の主導権を握り続ける。シュートを打たせなければ失点をする可能性は限りなく低くなる。その点で言えば、被シュート数1本だったこの日のアーセナルの守備はほぼ完ぺきだったと言っていい。

 ゲーゲンプレスは前線のプレッシングが必須だが、機微を見逃さないアンカーのポジショニングもまたカギを握る。その点でジョルジーニョが果たす役割は見た目以上に大きい。

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