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【三笘薫の解体新書/後編】エムバペと同じカテゴリー。「完成形に近い」姿勢の本質とは?

text by 石沢鉄平 photo by Getty Images

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 サッカー日本代表FW三笘薫は、なぜ世界最高峰のプレミアリーグでも圧倒的な輝きを放っているのか。身体動作に関する暗黙知をすべて言語化してきたパフォーマンスアーキテクトの里大輔は、「勝ちラインの距離が長い」と言う。3月8日に書籍『身体動作解体新書 現象を本質的に分解してパフォーマンスを上げる』(カンゼン)を上梓した里に三笘のドリブルを分解してもらった。今回は後編。(文:石沢鉄平)


ドリブラーは3つのタイプに分類できる


【写真:Getty Images】

 プレミアリーグで三笘薫が見せる現象は、「高速での切り返し」「急加速」以外にもうひとつ「強いフィジカル」がある。相手のプレッシャーに晒されても、なぜ三笘は簡単に倒れることはないのか。その本質は「だってフィジカルが強いから」では、もちろんない。相手に右肩をしっかりと掴まれている写真3を例に、身体動作に関する暗黙知をすべて言語化して、さまざまな競技の選手に伝えてきたパフォーマンスアーキテクトの里大輔は本質をわかりやすく説明する。

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「『高速での切り返し』は『急加速』時と同じです。相手に身体をぶつけられたり、掴まれたりしても『勝ちライン』(へそとみぞおちの間の距離)が何ら変わっていません。これも普通、相手とコンタクトした場合、猫背になったり、肩に力が入ったりして、上半身の姿勢を保てないことが多いかと思います。へそとみぞおちの距離が保たれていることで、いわゆる『フィジカルの強さ』が発揮されるわけです」

 さて、里は“現象の設計士”であり、カテゴライザーでもある。もちろん、カテゴライズ(分類)することが真の目的ではない。本質をカテゴライズすることで現象を浮かび上がらせるための作業にすぎない。まず、ドリブラーは3つに分類することができるといい、それが「大きなストライドのドリブラー」「ピッチ走法のドリブラー」「両方を併せ持つドリブラー」となる。三笘が分類されるのは3つ目の「両方を併せ持つドリブラー」タイプだという。

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