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ランパード監督就任のリスク。チェルシー愛は消耗品か?便利屋扱いする監督人事へ不信感【コラム】

シリーズ:コラム text by 内藤秀明 photo by Getty Images

愛するチェルシーの提案



 振り返るとランパードは、最初にチェルシーの監督に就任した時も、厳しい状況だった。19/20シーズンは、まずクラブのエースとも言えるエデン・アザールが退団した上に、18歳未満の外国人選手との契約をめぐる規則に違反したため補強禁止処分を受けていた。

 またその時点のランパードは、英2部ダービーを率いた1年しかシニアレベルの監督経験がなかった。米メディア『ジ・アスレチック』によると、この経験不足による失敗のリスクを、ランパード本人もわかっていたという。何ならチェルシーより条件面で良いオファーもあったという。それでも13シーズンも過ごした、愛するクラブの提案を断ることができなかった。

 そんな逆境でも若きイングランド人監督は、メイソン・マウント、リース・ジェームズなど、アカデミーの選手を抜擢することで、戦力低下を防いだ。そして就任初年度は、チャンピオンズリーグ出場権となる4位にチームを導くことにも成功。これは十分以上の結果だろう。

 そのままアカデミーの選手を中心に据えるランパード政権が長く続くかと思われた。しかしレジェンドとクラブの蜜月は長く続かなかった。翌シーズンは歯車が徐々に狂い始め、チームがチグハグになってしまったのだ。結果、21年の1月にリーグ戦の順位が9位の状態で解任の憂き目にあった。

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