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中途半端だったチェルシー。レアル・マドリード相手に見誤ったランパードの策【欧州CL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

チェルシーと対照的だったマドリーの守備



 チェルシーのプレスが中途半端だったのに対して、マドリーのプレスは前線からガッチリとハマっていた。

 開始2分の場面こそジョアン・フェリックスに背後を取られてピンチを迎えたが、その後は修正。先制点の場面でも高い位置でプレッシャーをかけたことがゴールの起点となった。

 低い位置からのチェルシーのスローインに対して、マドリーはボールサイドに人を密集させた。リース・ジェームズのボールロストが先制点の起点となるのだが、彼がボールを出す直前にカマヴィンガ、フェデリコ・バルベルデ、カリム・ベンゼマ、ルカ・モドリッチがしっかりと寄せている。これによってイングランド代表DFのパスコースがなくなり、カマヴィンガがカットすることに成功した。

 そして右SBのカルバハルがすっぽりと空いていたミドルゾーンへと上がり、フリーでヴィニシウスの背後にふわりとしたパスを供給。ヴィニシウスはフォファナの前に身体を入れることでボールに触り、ケパ・アリサバラガが弾いたボールをカリム・ベンゼマが押し込んだ。

 また、マドリーは前線からのプレスと最終ラインが上手く連動していた。32分の場面ではロドリゴがカリドゥ・クリバリに対して寄せる。これによってセネガル代表DFは、苦し紛れに前線でボールを受けようとしていたジョアン・フェリックスにパスを通そうとしたが、これを事前に予測していたエデル・ミリトンがカット。再びマドリーがチェルシー陣内でボールを握って、押し込む展開となった。

 こうした展開が続いたことでチェルシーにはあまりビッグチャンスが訪れなかった。

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