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アーセナルの「リスクある決断」がマンC撃破の背景に。勝利へ導いたサブ組の躍動【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 竹内快 photo by Getty Images

打開を図るマンチェスター・シティに立ちはだかるアーセナルMF



 中央の密集度を高め、シティのMFを自由にさせないアーセナルの守備は、中央に優れたタレントが揃うシティの攻撃力を確実に削いでいた。高い得点力を誇るアーリング・ハーランドやフリアン・アルバレスへの決定的なパスがシャットアウトされ、シティの攻撃は停滞。アタッキングサードでのパス成功数はアーセナルの106本に対し、約半分の56本に留まった(データ提供サービス『Stats Zone』参照)。

 苦しむシティもその状況を指をくわえてじっと見ていたわけではない。ミドルサードで起点が作れていない状況を打破するために、アーセナルの中盤と最終ラインの間のスペースを狙ったロングボール戦術を採用。ハーランドをターゲットにして、守護神エデルソン・モラエスがロングフィードを前線に送り込むことでチャンス創出を図ったが、アーセナルの選手たちが持つ高いクオリティがそれを阻む。

 特に大きな貢献を果たしたのがライスで、ピッチを縦横無尽に走り回り、体を使った守備でシティのチャンスの芽を潰していた。同選手はこの試合でパス成功率「90%」、ロングパス成功数「2」、1対1の地上戦勝利数「4」、インターセプト数「3」というスタッツを記録(データサイト『Sofa Score』参照)している。

 相手チームの攻撃を封じ込む素晴らしいディフェンスをしていたアーセナルだったが、一方で自分たちもこれといった決定的なチャンスを作ることができない。一進一退の攻防が続く中、ゴールまでの“あと1歩”、勝利までの“あと1歩”を埋めたのが、アルテタ監督の“勇気ある決断”だ。

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