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久保建英 7か月前

久保建英らを下げたレアル・ソシエダが繰り返した過ち。独善的な問題とは【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

1人変わっただけで…。久保建英にボールが入らず



 ソシエダの地元メディア『Noticias Gipuzkoa』は、ドローに終わった原因の1つを「ほとんどの場面でゲームをコントロールできなかったから」としている。この指摘通り、ラージョ戦におけるソシエダはいつも以上にバタバタしている印象が否めなかった。

 とくにビルドアップは全くと言っていいほどスムーズではなかった。もちろん、オーソドックスな4-4-2で守備を築いたラージョの粘り強さも讃えるべきではあるが、やはりスペイン代表MFメリーノの不在が大きな影響を及ぼしていたと言わざるを得ない。

 メリーノの代役を務めたトゥリエンテスは運動量や縦への推進力に強みを持っているが、局面における判断力やプレー精度はまだまだ向上の余地がある。この日は良い形でボールを収められず、持っても判断が悪いためすぐにロストするなど散々。パスもかなり正直なものが多く、後半にはドリブルで打開しゴール前まで侵入するところまでは良かったが、あまりに読まれやすい横パスをカットされ、すべてを水の泡にしてしまう場面が見られた。

 ソシエダのビルドアップは選手個人の能力に依存している部分もあるため、マルティン・スビメンディ、ブライス・メンデス、メリーノによる中盤の鉄板3枚のうち1人でも欠けるとクオリティーに大きな差が出てしまう。トゥリエンテスには悪いが、彼がうまくボールに絡めなかったことで、B・メンデスが低い位置で組み立てをサポートせざるを得ず、本来の強みであるボックス内への飛び込みが影を潜めることになった。

 当然ながら中盤でボールをコントロールできなければ、バレネチェア、久保の両ウィングにも効果的なボールがなかなか入ってこない。事実、ボックス内でのタッチ数は2人合わせてわずか5回(データサイト『Who Scored』を参照)。必然的にゴールから遠い位置でボールを受けていたことがわかる。それでも前者はアシスト、後者はPK誘発と結果を残したのはさすがだが、もう少し彼らが仕掛けやすい位置や状態でボールを保持できれば、ソシエダの攻撃はより脅威となっていたはずだ。

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