フットボールチャンネル

沈黙の攻撃…。なぜアーセナルは封じられた? ニューカッスルを崩せなかった原因【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 竹内快 photo by Getty Images

アーセナルに何が足りなかったのか



 結論から言うと、それはチームとしての崩しのアイデアの数である。攻撃に関して(改善が必要な選手もいるが)、特定の選手がすこぶる悪かったといった印象はなく、チームとして攻撃時のアイデアの少なさが露呈した試合だった。

 ミケル・アルテタ監督にとっておそらく想定外だったのは、ボールを保持して押し込むアーセナルの[3-2-2-3](または3-2-5)に対してニューカッスルが引いて守る[4-5-1]で応戦してきたことだ。それはアルテタ監督が選んだ先発メンバーの顔触れにも表れており、右インサイドハーフにはカイ・ハフェルツが起用された。パスの出し手というよりはパスの受け手として活躍するタイプであり、引いてスペースを消してきた相手に対して効果的なプレーを見せることはできなかった。

 アーセナルの総シュート数14本のうち相手選手にブロックされたのは9本。極めて堅固かつ密度の高いブロックを作られ、中央突破の難易度はよりハードなものになっていた。ガブリエル・マルティネッリとブカヨ・サカの両ウイングがサイドから違いを作れればゴールの可能性はもっと高まっただろうが、ニューカッスルの守備陣はそれを許さない。先発したダン・バーンとキーラン・トリッピアー、後半からピッチに立ったティノ・リヴラメントらの激しい守備によりアーセナルのサイド攻撃は鳴りを潜めた。

 それでもサイド攻撃に固執してしまったのが、最終的に「枠内シュート数1本」という結果に繋がってしまった原因だ。中盤の選手たちの中央を通す・通そうとするパスがほとんど見られず、チームとしてサイドからの中途半端なクロスやマルティネッリ、デクラン・ライスの個人技による打開に頼っていた感が否めなかった。

 もちろん[4-5-1]の相手を純粋に中央から崩していくのは難しい。しかしアーセナルがサイド攻撃一辺倒になったことにより、ニューカッスルのディフェンダーたちの意識もサイドへ向いていた。サイドレーンのもう1つ内側「ハーフスペース」にいる選手にパスを出していくなど、より中央から崩そうと試みるべきであったのは間違いないだろう。「まずサイドに預ける」という形が上手くいかない時の次のパターンが欲しかった。

1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top